1. 自動車業界の動向 コロナ禍などによる生産や流通の混乱が世界的に残るなか、景気回復によって情報機器や家電製品、自動車などの需要が増える一方、機能の高度化によって1製品当たりの半導体使用量がオーガニックに伸びており、このため製造業では半導体や各種部材の不足が継続している。自動車業界でも半導体や部材の不足が自動車業界のジャストインタイムという生産方式を不安定化させており、車両供給不足は2022年いっぱい続くとの見方が多いようだ。このように自動車業界は短期的に厳しい環境にあるが、中長期的には先端技術化や移動のサービス化から裾野を広げさらに拡大していくと予測されている。また、環境対応の点からも業界動向が注目されている。こうしたなか、自動車業界の近年のトレンドとして注目されているのが「CASE」である。「CASE」とは、自動車のIoT化(C:Connected)、自動運転(A:Autonomous)、所有から共有へ(S:Shared & Services)、EV(E:Electric)のことで、自動車業界に起きている「100年に一度の大変革期」を言い表している。また「CASE」と並行する動きが「MaaS(Mobility as a Service)」で、個人単位の移動ニーズに対応し、様々な交通手段を最適に組み合わせた予定・予約・決済をワンストップで行う、いわば移動自体をサービスとしてとらえた考え方である。同社はこうした考え方に対し、自動運転はプロパイロットなどで、共有は個人リース「P.O.P」などで、環境面で有利なEVは「リーフ」や「サクラ」などですでに実現しており、こと日本の自動車市場において同社は先駆者という位置づけにある(IoT化は通信インフラのほうが大きな問題)。