(1) 気候変動への対応と付加価値提供の両立 a) TCFD提言に基づく情報開示の実施 カーボンニュートラルに向けた取り組みとして、2022年6月より、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った気候関連の情報「TCFD提言への対応」を開示している。国内の2019年度におけるScope1+2のCO2排出量3,300トンを対象に、「2030年度までに50%削減」「2050年度までにカーボンニュートラル」を達成する目標を設定している。対応状況のうち、国内については、工場のCO2排出量2,000トンのうち約1,000トンは、再生可能電力への切替により削減対策実施済である。国内の残るCO2排出量については、再生可能電力の対象拡大、車輛の電動化、設備省エネ化等の対策を検討し、実施する予定だ。
b) 建設施工現場のCO2削減への貢献による付加価値提供 建設施工現場のCO2削減に貢献する付加価値の提供に取り組んでいる。一例を挙げると、建設機械のCO2排出削減に貢献するEVローラのデモ機が完成予定となっており、研究開発段階から舗装現場での実践的テスト段階へのシフトを予定している。また、業界標準機開発に向け、複数の大手ゼネコンの参画を得て、建設施工全体の省力化及び効率化に貢献する自律走行式ローラの施工現場での実証試験を継続中である。
(2) コーポレートガバナンスの強化 a) サステナビリティ基本方針の制定 同社は、2022年10月にサステナビリティ基本方針を制定した。企業グループとして、道路建設機械事業を通じて世界の国土開発という社会事業に貢献するという経営の基本方針の下、ESG経営の実践を通じて持続可能な社会への貢献とグループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を目指す。
b) 取締役会の多様化 コーポレートガバナンス・コードの改訂を踏まえ、取締役及び執行役員によって構成される同社の取締役会が備えるべきスキルを、「経営」「道路機械」「グローバル」「資本市場」「管理」「モノづくり」「マーケティング」の7項目に設定し、2023年3月期より取締役会のスキルマトリックスとして公表している。2022年6月の株主総会では同社初の女性社外取締役を選任し、取締役会としてのダイバーシティの確保及び機能強化にも取り組んでいる。