■業績動向

3. 財務状況と新たな資金調達について
アンジェス<4563>の2022年12月期第3四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比5,560百万円減少の39,895百万円となった。流動資産では、「コラテジェン(R)」の原薬製造に伴い原材料及び貯蔵品が317百万円増加した一方で、現金及び預金が7,847百万円減少したほか、新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けワクチンの製造が終了したことに伴い前渡金が1,273百万円減少した。固定資産では円安の進展に伴いのれんが3,493百万円増加した。

負債は前期末比243百万円増加の7,064百万円となった。新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発プロジェクトにかかる助成金の入金により前受金が644百万円増加した一方で、買掛金が137百万円、未払金が170百万円それぞれ減少した。純資産は前期末比5,803百万円減少の32,830百万円となった。のれんに係る為替変動の影響により為替換算調整勘定が4,403百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失10,194百万円の計上により利益剰余金が減少した。

同社は2022年10月に第三者割当による新株予約権(行使価額修正条項付)を発行した。潜在株式数は3,800万株(希薄化率24.8%)、下限行使価額は124円に設定している。資金調達の主な目的は、1)Emnedoの2023年12月期の運営資金、2)HGF遺伝子治療用製品のグローバル展開に対応可能な製法、生産プロセスの効率化を企図する研究開発費用、3)新規製品・プロジェクトの獲得による事業基盤の強化、既存開発品の適応症拡大・グローバル展開のための資金調達、となっている。

Emendoについてはまだ開発ステージのため資金調達が必要で、同社で調達した資金を充当していくことになる。なお、前述の通り臨床試験段階に移行すればIPOを行う道筋が開け、株式市場から開発資金を調達していくことも可能になると見られる。また、新規製品・プロジェクトの獲得による事業基盤の強化のなかには、ACRLにおける検査対象疾患の拡大や検査レベルの向上に向けた設備投資などの費用も含まれている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 アンジェス Research Memo(12):Emendoの事業運営資金の調達等を目的に新株予約権を発行