■今後の見通し

3. 成長戦略
ネットイヤーグループ<3622>は今後の市場トレンドとして、リアルとデジタルの融合も含めた顧客起点によるDX投資が活発化することに加え、SDGsなどの社会課題解決に向けた投資も拡大していくことを想定している。策定中の新中期計画では、既存事業の成長に加え、新規事業の開発・育成に取り組むことで一段の収益成長を目指していく方針で、以下の4点に取り組む。

(1) 強みであるUXで人財の育成・強化に注力する。
(2) オウンドメディアを軸としたサービス開発支援に注力し、NTTデータとの協業を強化していくことで、UXデザインからシステム構築まで提供する。
(3) 顧客体験の変化に伴い、業務改革まで支援するためのサービス提供に取り組む。
(4) 社会課題に対する意識の高まりを受け、課題の解決に向けた事業開発支援に取り組む。

既存事業については、Web構築やデジタルマーケティング支援にとどまらず、需要が拡大しているリアルとデジタルを融合した、顧客起点でのUXデザインやシステム構築に注力する。リアルとデジタルを融合した新たなUXデザインでは組織・業務改革が必要となるが、顧客企業によってはDX人材が不足していることも多く、BPO(Business Process Outsourcing)のニーズは強い。また、従来は企業向けが中心であったが、行政のデジタル化が今後一段と進展していくなかで、豊富な取引実績を持つNTTデータと協業することで、自治体向け開発案件の増加も期待される。

一方、新規事業については、Shopify関連サービスやPOSに加えて、社会インパクト事業の育成に取り組んでいく。SDGsへの関心が高まるなか、社会課題解決型の新規事業の立ち上げを目指している企業に対して、サービスデザインやシステム構築、デジタルマーケティング支援等を行うサービスで、将来的には社会起業家とのオープンコラボレーション等も推進していく。

社会インパクト事業の第1弾としては、2022年9月に、日本顧問介護士協会と介護離職リスクの軽減支援に関する業務提携を発表した。日本顧問介護士協会は、超高齢化社会で問題となっている介護離職(介護負担の増大で離職を余儀なくされる状況)のリスクを軽減することを目的に2020年に設立され、介護セミナーや相談会を実施している。業務提携により、同協会が提供する顧問介護サービスのプラットフォームのDX支援や専門ECサイトの開発支援を行う予定だ。事例を積み重ねることで同事業を育成し、社会課題解決への貢献を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 ネットイヤー Research Memo(8):協業推進に加えて、新規事業の育成により中長期的な企業価値向上を目指す