■業績動向

2. 2023年3月期の業績見通し
早稲田アカデミー<4718>の2023年3月期の連結業績は売上高で前期比8.6%増の31,000百万円、営業利益で同18.0%増の2,149百万円、経常利益で同18.2%増の2,176百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同17.6%増の1,303百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期まで利益ベースでは計画を上回る進捗となっているが、物価上昇やエネルギー価格の高騰に伴う原材料費・光熱費の増加が見込まれることや、コロナ禍の再拡大が懸念されるなかで冬期講習等の状況が見通し難いため、保守的に据え置いた格好だ。2022年10月の塾生数は前年同月比9.1%増とおおむね計画の範囲内で推移しており、今後コロナ禍の再拡大等により塾生数の伸びが失速しなければ会社計画の達成は可能と弊社では見ている。

(1) 部門別売上高と塾生数の見通し
部門別売上高は、小学部で前期比11.9%増の18,105百万円、中学部で同4.5%増の11,188百万円、高校部で同0.7%増の1,583百万円となる見通し。前提となる期中平均塾生数は、小学部で同13.7%増、中学部で同5.1%増、高校部で同4.4%増となる。塾生1人当たりの平均売上高は前期比で若干の減少を見込んでいるが、要因としては非受験学年の塾生数の構成比率上昇による。なお、2022年3月期第4四半期から加わった旧明光ネットワークジャパンの個別進学館事業については、売上高で6億円強の上乗せ要因となり、営業利益についてものれん償却後で若干の利益を計画に織り込んでいる。

(2) 校舎展開について
新規開校については、第4四半期に「早稲田アカデミー(小学・中学部)」「個別進学館」で各1校を予定している。また、活況が続いている湾岸エリアの「豊洲校」では、2022年12月に3号館を増設し、1校舎当たりの塾生数では同社の中で最大規模の校舎となる見通しだ。同様に2021年7月に開校した「品川校(小学部)」(東京都品川区)も、2023年1月に2号館を増設し、3号館の物件確保も目途が付いたようで中学部の塾生受入も開始する。「品川校」についても塾生数が早晩1千人を超える見通しだ。湾岸エリアは今後も学齢人口の増加が見込まれていることから、積極的に校舎展開を進めていくものと見られる。

(3) 費用の見通し
売上原価率は前期の72.4%から71.7%に低下する見通しだ。原材料費は前期に引き続き塾生数・受講者数の増加に伴う教材模試仕入の増加、及びオンライン英語関連の外注費増加により前期の13.5%から14.1%に上昇を見込んでいる。一方、労務費率は講師などの増員を進めるものの、増収効果により前期の35.7%から35.2%に低下し、地代家賃の比率も同12.1%から12.0%に、その他費用の比率も同11.1%から10.4%とそれぞれ増収効果により低下する。なお、光熱費については電気料金の値上げに伴い前期比で数千万円程度増加する見通しだ。

販管費率は前期の21.2%から21.4%と上昇する見通し。労務費率は前期の7.5%から7.4%、広告宣伝費率は4.1%で横ばい水準とそれぞれ増収効果で抑制されるが、その他販管費の比率が同9.6%から9.9%に上昇する見込み。のれん償却額や株主優待費用の増加が主因となる。なお、広告宣伝費については引き続き効果の高い大型交通広告やWeb広告等を強化していくほか、人材強化に向けた採用広告も増やす計画となっている。

なお、同社は物価上昇や光熱費の値上がり、品質の高い教育サービスを提供するために必要となる人材を確保するためのコスト増などを考慮して、2024年3月期に授業料の値上げを実施する予定にしている。値上げが塾生数の動向に影響を与える可能性はあるものの、競合塾も値上げを進めつつあるほか、進学塾については景気変動の影響を受け難い傾向にあることから、その影響は軽微と弊社では見ている。

(4) 子会社の動向
子会社の動向については、野田学園が既卒生の低迷により厳しい業績が続く見通しだが、他の子会社については塾生数の増加により増収増益を見込んでいる。今後も相互のリソースを共有し連携しながら合格実績を積み上げていくことで成長を目指していく戦略だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 早稲アカ Research Memo(3):2023年3月期業績は期初計画を据え置くも、2ケタ増益が続く見通し