■リソー教育<4714>の今後の見通し

2. 中期経営計画の進捗状況
(1) 中期経営計画の概要
2023年2月期からスタートしている3ヶ年の中期経営計画では、最終年度となる2025年2月期の業績目標として売上高40,000百万円、営業利益4,510百万円、経常利益4,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,000百万円を掲げている。3年間の年平均成長率は売上高で10.1%、営業利益で14.2%成長と2ケタ成長を見込んでいることになる。業績の進捗状況としては前述のとおり、2023年2月期はコロナ禍の影響や諸経費の増加等もあり、やや低調な滑り出しとなったが、2024年2月期は価格改定効果もあり、キャッチアップできるものと弊社では考えている。

成長戦略については変わらず、高品質な“本物”の教育サービスの提供による徹底した差別化戦略の継続と、積極的な校舎展開により、少子化が進行するなかでも生徒数の持続的な拡大を図ることを基本戦略としている。また、同戦略を効率的に進めるため、異業種連携も推進する予定である。「スクールTOMAS」においては既にKDDIまとめてオフィスとの連携により、導入校数の拡大という成果が出始めており、今後もその取り組みを推進していくほか、コナミスポーツとの協業による「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」や、ヒューリック及びコナミスポーツとの協業による教育特化ビル「こどもでぱーと」の展開、Kids Smile Projectとの連携による顧客囲い込み戦略などを推進する。これら異業種連携については、効率的に生徒を獲得するだけでなく、顧客LTVの向上も実現できることから、収益性の向上につながる取り組みとして注目される。

(2) 成長戦略
a) 教育特化ビル「こどもでぱーと」の展開
同社は2020年9月にヒューリック、コナミスポーツとの3社で業務提携を締結し、今後、ヒューリックが首都圏で開発する教育特化ビル内において、「伸芽’Sクラブ託児・学童」「伸芽会」「TOMAS」「インターTOMAS」など同社グループの教育サービスや、コナミスポーツが提供する「運動塾」※等を展開する「こどもでぱーと」構想を発表した。子どもを勉強と運動の両面でバランス良く育てたいというニーズは強く、好立地の場所で各種サービスを提供することでこれらのニーズを取り込んでいく。同社にとっては、乳幼児から高校生まで複数のサービスを提供できる機会が広がることになり、「囲い込み戦略」により顧客のLTV最大化を図っていく取り組みとして注目される。

※子ども向けを対象とした運動スクールで全国に140ヶ所以上展開している。


現在の進捗状況については、全体で7件(東京都渋谷区、目黒区、港区、品川区、中野区、江東区、千葉県市川市)の企画が同時に進行中で、2029年までに首都圏の主要駅をターゲットに20棟まで広げる構想を描いている。

このうち、ヒューリックが2026年に渋谷に竣工予定の複合ビル「MITAKE Link Park(仮称)」※に「こどもでぱーと」を展開することが決まっており、同社は「伸芽’Sクラブ託児・学童」「伸芽会」を開校する予定となっている。また、同拠点内にオープンする「創造文化教育施設」の運営にも携わっていく。

※東京都と渋谷区が実施する「都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷一丁目地区共同開発事業」の開発事業者としてヒューリックが選定され、地下2階、地上14階建ての複合ビルの開発を進めている。敷地面積は9,670m2。事務所、店舗、賃貸住宅、こども教育施設、多目的ホール等が入る予定。


「伸芽’Sクラブ託児」については、需要が旺盛なものの条件に見合う不動産物件が見つからず、拠点数が伸び悩んでいた。しかし、「こどもでぱーと」構想を機に継続的に拡大していくことが可能となる。また、「伸芽会」については名門幼稚園・小学校の“お受験”というある種特定の市場で、ノウハウを持った有名講師が存在しており、その講師を求めて入会を希望するケースが多いことから教室数の拡大に関しては従来慎重なスタンスであったが、講師の育成体制を強化することで「こどもでぱーと」への展開も可能になると見られる。少子化の進行により幼児教育市場は生徒獲得競争が一段と激化すると予想されるが、同社は受験対策、進学指導等の付加価値サービスを提供することで競争優位性を確保する戦略であり、「こどもでぱーと」構想の実現によって幼児教育事業は中期的に高成長が続くものと予想される。

b) 「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」の展開
コナミスポーツとの協業によって2022年4月より展開を開始した「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」も今後、幼児教育事業の成長に寄与する取り組みとして注目される。2022年4月に開校した「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」の品川校は開校間もなく定員に達し、2023年4月に定員数の拡張を決定した。また、同年4月に西宮校(兵庫県)の開校を新たに決定し、そのほか大阪エリアで1校、神戸エリアで1校を開校する予定となっている。関西エリアでの開校が多いのは、施設面積が大きい物件が多く、学習スペースを新たに設置することが容易なことや、対象生徒数が多いことなどが要因と考えられる。品川校の場合、コナミスポーツの会員数は約1千人規模であり、生徒数が短期間で定員に達したことを考えると、今後の新設校においてもスムーズに生徒数の獲得が進む可能性が高く、生徒獲得コストもほとんど掛からないことを考えれば、売上高の拡大とともに収益性の向上にも寄与するものと考えられる。同社では当面の目標として「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」を約20校開校する予定にしており、学童部門については校舎数で現状から約2倍に拡大することが視野に入っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 リソー教育 Research Memo(9):2025年2月期に売上高400億円、営業利益45億円を目指す(1)