■事業概要

1. 事業内容
STIフードホールディングス<2932>は食品生産販売事業を単一セグメントとしているが、販売先別及び製品別の分類を行っている。販売先別では、セブン-イレブングループ向けの売上高が85%を占め(2021年12月期、以下同)、セブン-イレブン以外は15%である。セブン-イレブン向けの内訳は、チルド惣菜やおにぎり具材のほか、冷凍食品、常温食品、缶詰などである。セブン-イレブン以外は、自社ECサイトなどで扱う食品や、外食チェーン向けイクラや白子、食品スーパー向け缶詰や珍味などで、キャットフードの生産やOEMの受託も行っている。製品別では、水産原材料を使ったチルド惣菜や缶詰、レトルト製品など食品が83%、おにぎり・弁当・パスタ・サラダ向けに生産・販売される水産具材など食材が17%となっている。なお、セブン-イレブングループ向けの商流は、食品についてはセブン-イレブン各店への販売(物流は各地デポへの配送)、食材については食材商社への卸売となっており、食材はその後、おにぎりなどを生産するデイリー惣菜メーカー(コンビニベンダー)へと運ばれる。

(1) 食品
素材となるサーモン、サバ、イワシ、イカ、タコ、赤魚、ムール貝などは、旬の時期に国内外で水揚げされた原材料を、自社による徹底した検品体制のもとに調達し、徹底した温度管理のもとで下処理から骨取り、加熱調理、冷却、包装など一貫生産を行うことで、おいしさを逃がさないようにしている。また、チルド惣菜は一般に消費期限が短いため、販売機会ロスやフードロス(廃棄)につながりやすいという課題を抱えていたが、同社は商品包装に特殊なプロセスを入れることで、消費期限の大幅な延長を実現した。チルド惣菜以外では、サバ、イワシ、サンマ、牛筋煮込み、チキンのトマトソース煮など水産原材料などを使った缶詰・レトルト製品を、保存するばかりでなく毎日の食卓におかず(惣菜)として食されることを前提に生産している。特にサバやイワシはDHAやEPAといった不飽和脂肪酸を多く含むことから、ヘルシー食品として需要が伸びている。同様に健康志向から、オリーブオイルを豊富に使用した商品やカルシウム豊富な骨をそのまま食べられる缶詰なども注目されている。

(2) 食材
コンビニエンスストアのおにぎりの素材となるサーモンやイクラ、辛子明太子などに関しても、食品と同様、旬の時期に国内外で水揚げされ、徹底した検品と温度管理を経て調達した原材料を使用している。売れ筋のサーモンフレークは、特許取得済みの特殊な製法により家庭での焼き立ての味や食感を再現することができ、日本人のみならず外国人からも好評である。イクラに関しては、菌管理の問題からおにぎりの具材として使用が難しいと考えられてきたが、これも特許取得済みの同社独自の静菌管理技術(細菌の発育・増殖を抑制する技術)によって使用が可能となり、着色料等を使用しない、熟成したサーモン卵本来のおいしさを引き出すことを実現した。辛子明太子についても、熟成による自然なおいしさに加え、着色料・添加物を使用しない安全・安心な食材として消費者に好評である。


美味しさと安全性にこだわった調達と生産体制
2. 調達体制と生産体制
同社は、水産原材料をその時々の相場価格で複数の商社・問屋から広く調達することにより、必要なサイズ、必要な数量を安定して確保する仕組みを構築している。さらに同社の現地社員は、原則自ら素材の検品や加工状況などに立ち会って現物を確認している。例えばチリでの養殖素材の調達では、同社子会社のSTI CHILE S.A.の担当者が、養殖水域の水質や養殖状況から、投与された抗生物質が残留していないことの分析証明まで、トレーサビリティ(製品・調達原材料の生産・流通過程を追跡可能にするための管理体制)の確認を徹底して行っている。

同社は、東北及び関東、東海、九州に生産拠点を有している。工場ごとに異なる得意分野や商品群を組み合わせることで、コンビニエンスストアが必要とする3温度帯(冷凍・チルド・常温)の食品や食材の生産を行っている。これら工場は子会社が運営しており、主にコンビニエンスストア向けに水産惣菜(焼魚、煮魚、カップサラダ等)を手掛けているのが(株)STIフード、(株)STIデリカ、(株)STIエナック、(株)STIミヤギで、素材のおいしさを最大限に引き出すためチルド(冷蔵)温度帯で生産から出荷、販売までを一貫して行っている(一部工場では冷凍惣菜の生産・販売も行っている)。また、STIエナック、STIミヤギでは、おにぎりや弁当、パスタ、サラダなどに使用されるサーモンフレーク、イクラ、辛子明太子といった水産食材を、食材商社などを通じてデイリー惣菜メーカー(コンビニベンダー)に生産・販売しており、(株)STIミヤギ、(株)STIサンヨーでは缶詰を生産している。なお、(株)STIサンヨーではペットフードの生産・販売も行っている。同社は、北海道を除く全国のセブン-イレブンやベンダーに向けて、こうした子会社工場から商品を供給しているが、現在、同社生産能力を上回る勢いでチルド惣菜が伸びていること、関西エリアに工場がないため生産拠点網が最適化されていないことが課題となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 STIフードHD Research Memo(3):セブン-イレブン向けが売上高の85%を占める