a) 食道がん(放射線併用療法、日本) 食道がんを対象とした放射線併用療法による第2相臨床試験は、外科手術による切除や根治的化学放射線療法(放射線と抗がん剤を用いた治療法)が不適な患者を対象に行われ、ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)との比較により有効性と安全性を確認する試験となる。予定症例数37例のうち、2022年8月時点で約9割まで進んでおり、年内にもすべての組入れが完了する見通しとなっている。
b) 食道がん(化学放射線療法との併用療法、米国) 同社は2020年6月に米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーとの間で、食道がん患者を対象とした医師主導の第1相臨床試験を実施する契約を締結した。臨床試験の内容は、標準治療法であるCRT療法を行いながらテロメライシンを隔週に3回投与し、安全性の確認と3ヶ月後の腫瘍の縮小効果を確認するというもの。完全奏効率が標準治療法を上回れば(CRT療法単独で約50%程度)、企業治験で開発を進めていく可能性が出てくる。また、3年後のがん再発率が既存療法より低ければ、食道がんにおいて外科手術以外の標準治療法候補となる可能性もある。
c) 進行性または転移性固形がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法、日本) 食道がんを中心とした進行性または転移性固形がんでステージ4の患者を対象に、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(開発:米メルク、商品名:キイトルーダ)との併用療法による医師主導の第1相臨床試験が国立がん研究センター東病院等で進められ、2021年に22例の組み入れを完了した。同治験はステージ4の患者に対する治療戦略として、テロメライシンによる局所療法で腫瘍を縮小させ、患者のQOLを高めることで免疫チェックポイント阻害剤の治療効果をさらに高め、患者の生存期間を延伸することが可能かどうかを確認する試験であった。