低分子化合物のエミクススタト塩酸塩については、スターガルト病を対象とする第3相臨床試験を2018年11月に開始し、2022年6月まで世界11ヶ国、29施設において継続して実施した。そして、最後の最終被験者最終来院(LPLV, Last Patient Last Visit)を2022年6月23日(米国時間)に完了し、当第3相臨床試験は終了した。データベースの集計及び分析の結果、主要評価項目及び副次的評価項目を達成せず、治療群間の有意差も示されなかった。主要評価項目である黄斑萎縮の進行率は、エミクススタト投与群で1.280mm2/年、プラセボ投与群で1.309mm2/年だった(p=0.8091)。但し、エミクススタトの忍容性は良好で、先行研究と同様の安全性プロファイルが示された。この結果、当第3相臨床試験で得たデータを更に綿密に検証し、共同開発パートナーを探す等の活動を継続するとともに、エミクススタトの今後の計画について改めて検討していくとしている。
医療機器について、同社独自のアクティブスティミュレーション技術を活用した、近視の進行抑制、治療を目指すウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」は、第2四半期には、米国FDAでの医療機器登録の完了及び、ソフトローンチとして、米国において一部眼科医院で販売を開始した。現在、販売拡大に向けた準備を進め、より多くのエビデンスを得るための臨床試験等を継続している。在宅で網膜の状態の測定を可能にする遠隔眼科医療モニタリングデバイス「PBOS (Patient Based Ophthalmology Suite)」については、2020年7月の初期型試作機の完成以降も更なる機能改善のため、AI(人工知能)を活用した3D生成機能などのソフトウェア改良を行いつつ、パートナー企業との共同開発、商業化の可能性を模索している。また、有人火星探査に携行可能な超小型眼科診断装置の開発をNASA(米国航空宇宙局)と共同で進め、2020年4月に同プロジェクトのフェーズ1が完了した。フェーズ2の詳細については協議を続けているが、開始時期は未定となっている。