■事業概要

2. 収益成長モデル
タナベ経営<9644>のビジネスモデルの特徴は長期契約型のサービスを成長基盤とし、これらサービスの新規顧客を積み上げながらスポット型の商品・サービスを加えることで持続的成長を実現していることにある。全売上高の約90%が「LTV型※(更新・継続率70%以上)サービス」、約80%が「高単価・長期契約型(基本6ヶ月以上)サービス」で占めており、同社の収益安定性が高い要因となっている。「高単価・長期契約型サービス」の主力はチームコンサルティングサービスである。

※LTV(Life Time Value):顧客生涯価値→顧客と長期の関係性を築くビジネスモデル。


また、契約継続年数の内訳を見ると、1年以上の継続率が全体の約75%、5年以上の継続率が約45%を占めるなど長期的な関係を構築している顧客の比率が高いことが特徴となっている。「ビジネスドクター」として、トップマネジメントアプローチ(主に経営者・リーダーに寄り添い、経営者目線で顧客企業の経営全般を理解し、様々な経営に関する決断や経営課題の解決に資する)を志向することにより、高い継続率につながっていると考えられる。

また、顧客創造モデルとしては、既存顧客や提携先金融機関からの紹介だけでなく、デジタルマーケティングや無料説明会の開催等で新規顧客と接点を持ち、チームコンサルティングサービスのほか戦略ドメイン&ファンクション研究会やFCCセミナーへの参加など継続的なサービスを提供していくことにより、ロイヤルカスタマー化していく流れとなる。チームコンサルティングサービスの新規顧客のうち約6割がこれら研究会や各種セミナーに参加した企業で占められるようになってきている。さらに2022年3月期からはグループ全体のマーケティング戦略として、専門のマーケティングサイトを立ち上げ、リード(見込み顧客)の獲得を進めている。具体的には、HR領域、事業承継・M&A領域におけるマーケティングサイトを立ち上げ、同サイトからリードを獲得しているほか、大型無料Web説明会やグループ会社との共催説明会などの実施によるリード獲得なども進めている。マーケティングサイトについてはグループ会社の(株)リーディング・ソリューションが開発し、コンテンツについては(株)ジェイスリーが一部担当するなど、グループシナジーが生かされており、今後も経営コンサルティング領域ごとにマーケティングサイトを立ち上げていく予定にしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 タナベ経営 Research Memo(3):高単価・長期契約型サービスの顧客基盤を積み上げていくことで持続的成長を実現