当時、日本のIT市場は同社が主力としていた旧来の基幹システムを中心としたビジネスモデルから、クラウド、ビッグデータに代表される新しい技術やプラットフォームへの移行が急速に進みつつあった。また、世界的にも米国Amazon.com, Inc.が提供するクラウドプラットフォームサービス「Amazon Web Service」や米国salesforce.com, Inc.が提供するクラウドプラットフォームサービス「Force.com」など世界をシームレスに繋ぐ廉価かつ高品位のPaaS(Platform as a Service)の加速度的普及がみられた。その結果、アプリケーションソフトウェアベンダーは、PaaSベンダーが提供するクラウドプラットフォームを利用することにより、自社のアプリケーションソフトウェアをグローバルなクラウドサービスとして比較的簡単に提供することが可能となった。このようなソフトウェア産業における構造転換は、世界の強豪アプリケーションソフトウェアベンダーが日本市場に参入する障壁を大幅に引き下げるものであり、日本市場で確固たる地位を築いていた同社グループにとっても、競争の激化が確実な情勢となっていた。
WACホールディングス(株)は、旧ウイングアーク1stの全株式を取得する目的でカーライル・グループが運営する投資ファンドであるCJP WA Holdings, L.P.により、2016年3月に設立された。WACホールディングスは、LBO(Leveraged Buyout)を実施し、自己資金の他、外部資金調達として金融機関からの借入(31,500百万円の調達)を行い、内野弘幸氏及びオリックスの子会社であるOPI2002投資事業組合から、旧ウイングアーク1stの全株式を2016年4月に取得した。その後、WACホールディングスは同年6月を効力発生日として、旧ウイングアーク1stを消滅会社とする吸収合併を行い、同日付でWACホールディングスの商号をウイングアーク1stに変更した。