■強み

バイク王&カンパニー<3377>の強みは、(1)「バイク王」ブランドは、バイク中古車買取で圧倒的な認知度を誇るバイク買取のリーディングカンパニーであること、(2)24時間・365日体制で買取査定のお申し込みを受け付け、無料出張買取サービスを展開するネットワークなど顧客へ質の高いサービスを提供していること、(3)日本各地にある「中古バイクオークション会場」と全国の「バイク王」の流通網を活用した全国統一の査定基準によって、顧客が安心して利用できる透明性の高い市場環境を構築していること、(4)「ホールセール」と、「リテール」の2つの流通網を持っていることの4つとなる。

(1) 圧倒的な「バイク王」ブランドの認知度
2004年から継続して行ってきたテレビCMや積極的なWeb-CMによるブランド認知は絶大で、バイクに乗らない層にも「バイク王」のブランド名は認識されている。従来のバイク買取専門店としての「バイク王」から、バイクに関わるすべてのサービスを総合的に提供する「バイクのことならバイク王」と言われるブランドへと進化した。さらにバイクに関する周辺ビジネスの拡大を推進している。

(2) 顧客へ質の高いサービスを提供
顧客ニーズに応えるため24時間・365日体制で買取査定のお申し込みの受け付けを行う。また、全国の店舗からバイクライフアドバイザーが顧客の自宅までバイクの買取に出向く無料出張買取サービスを展開するなど、ネットワークを生かした迅速な対応が可能である。その他、対面販売だけでなく販売サービス拡充として通信販売を強化している。同社の豊富な在庫のなかから「気軽」「安心」「選べる」をコンセプトに全国をシームレスにつなぎ、「ワンショップ」感覚のユーザビリティを実現することを社内のスローガンとして展開を図っている。通信販売のサービスとしては、同社指定日時に限り自宅まで送料無料にしているほか、指定のエリア内であれば店舗間送料が無料となっている。また、バイク王公式サイト内や大手中古二輪販売サイトの在庫情報に、エンジンサウンドなども確認できる動画情報を追加することでさらに選びやすくなっている。そのほか、対面販売、通信販売ともに、「バイク王」の店舗で購入し納車整備を行った車輌については、最長7年間※の長期保証を用意し、バイクライフを全面的にサポートする。ECサイトの運営・管理業務を担う子会社バイク王ダイレクトの設立により、新たな顧客層の拡大を図っていく考えである。

※車輌により保証期間が異なり、保証を受けるには条件がある。


(3) 全国統一の査定基準によって透明性の高い市場環境を構築
顧客から選ばれるために重要な要素が適正買取であり、流通や査定基準に未整備な部分が多かった従来の中古バイク市場において、顧客が安心して利用できる合理的かつ透明性の高い市場環境を構築している。同社は、日本各地にある「中古バイクオークション会場」と全国の「バイク王」の流通網を活用して買取している。ITネットワークを活用し、全国各地の「中古バイク業者オークション会場」の相場情報を把握しているため、オークション相場を基準に査定額を算出する。バイクを直販する「バイク王」店舗における販売価格は、全国の「バイク王」ネットワークで直接仕入れているため、他社と異なり中間マージンの上乗せが不要であり、より適正かつ高価買取が可能となる。また、多種多様なバイクを取り扱ってきた実績をもとに蓄積されたノウハウによって、メーカー・車種を問わず市場情勢に応じた最適な査定が可能である。

(4) 「ホールセール」と「リテール」の2つの流通網
業者向けオークションを介して卸売する「ホールセール」と、自社の店舗や通信販売等を通じて販売する「リテール」の2つの流通網を持つ。業者向けオークションへの卸売を活かしたキャッシュ・フロー経営と、豊富な仕入れを活かしたリテールを強化することで、さらなる成長を目指す。一般的な販売店の下取車輌は次に売れるまでの期間が長く、在庫管理コストがかさむ場合があるが、同社では買取した車輌を約1ヶ月という短期間で業者専門オークションへ出品するため、在庫管理コストを大幅に削減できる。また、膨大な数量のバイク(2002年8月-2019年9月までの「バイク王」累計取扱台数は約200万台)を取り扱うことで在庫管理コストや配送費などの1台当たりの経費を少なくできている。

ホールセールの特長は、(1)在庫期間が短く在庫・展示コストが小さい(2)早期現金化(売上債権回収期間1~3日)(3)販売価格を買取価格に迅速に反映できることなどが挙げられる。リテールの特長は、(1)バイク買取利用率No.1だからこそ実現する豊富な在庫からの厳選(2)中古バイク全車輌に長期保証※と返品保証が付いている(3)近くに店舗がなくても通信販売を利用することで全国どこでも納車可能などが挙げられる。

※一部車両を省く


そのほか、同社の主な取り組みとして、「仕入力強化」と「販売力強化」が挙げられる。仕入力強化においては、マスメディアの媒体構成の最適化とWebを中心とした効果的な広告展開を推進するとともに、人員の適正配置・拡充、育成強化に注力し、顧客からの問い合わせに迅速に対応できる体制を強化している。販売力強化においては、マーチャンダイジング施策を展開し、店舗の移転や増床に加え、リテールの商品ラインナップの拡充を図るとともに、接客力向上や売り場改善による既存店の強化に努めている。これにより、仕入れは好調に推移しており、高市場価値車輌を中心に量と質の向上が図られ、リテールに適した在庫も十分に確保。リテール台数の量の確保により、平均売上単価・平均売上総利益額が上昇している。

また、同社の第1四半期は冬にあたり、バイクのオフシーズンとなることから損失になる傾向があった。そこで、第1四半期の損失を解消するため、第4四半期に次期を見据えて準備する戦略を展開した。その結果2021年11月期の第1四半期は黒字に転じ、その後黒字化が定着している。つまり、第1四半期で売れる量を第4四半期において十分に確保できる体制に変化したということであり、これが全体の収益力を引き上げる結果につながっている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 バイク王 Research Memo(4):「ホールセール」と「リテール」2つの流通網