■事業概要

3. 新晃工業<6458>の強み
同社は、二次側空調機器というビル建築工事のなかでもニッチな市場を深掘りすることでリーディングカンパニーとなった。そうしたポジションを得ることができた背景には、設備工事という独特の世界で培われた、同社の製販体制と事業運営の強みがある。

製販体制における強みは、設計から製造、販売、工事・サービスまでの一貫体制にある。具体的には、同じ建物でも1台ごとに仕様・能力・サイズが異なるオーダーメイドニーズに応える製品開発力・設計力、オーダーメイドがゆえにばらつく生産を生産現場が柔軟に対応して工場をフル稼働させるノウハウ(生産量を安定できないため過去に大手メーカーが撤退し、現在では新規参入もない理由である)、長年の実績を背景とする製品や作業の品質の高さ、営業から技術、製造、サービスまで緊急時でも一体となった迅速な動きなど、各部署の強みが相乗効果となった一貫体制である。また事業運営面では、長年の実績に基づく案件情報量及び設計から参加することで得られる早期段階の情報に基づいた需要予測精度の高さが強みとなっている。さらに、必要に応じて更新案件や小口案件を取り込むことで営業面から各工程をコントロールし生産量を安定化するノウハウ、長年の経験と科学的管理手法に基づく細やかな現場調整と生産物流計画なども大きな強みと言える。

比較的人手に依存しているが、こうした強みを背景に、同社の更新案件比率は約50%と非常に高くなっている。また有名施設への納入実績も多く、新国立競技場など東京オリンピック・パラリンピック関連の大型施設に幅広く空調機器を設置したほか、グランフロント大阪、あべのハルカス、阪急うめだ本店(百貨店)、京セラドーム大阪(大阪ドーム)、中部国際空港セントレア、バンテリンドームナゴヤ(名古屋ドーム)、六本木ヒルズ、丸の内ビルディング、東京スカイツリー、東京駅、東京ミッドタウンなど全国の大型ビルや、スーパーコンピュータ「富岳」(理化学研究所)、吹上大宮御所、正倉院東宝庫、法隆寺大宝蔵院などが挙げられる。海外でも、ザ・ペニンシュラ香港、ザ・ベネチアン・マカオ、ラッフルズホテル、マリーナベイサンズ、タージマハルホテルなど、快適性が求められる国際的な有名ホテルを中心に納入している。とはいえ、人口減少やベテランの退職、需要構造の変化などにより、同社ビジネスの強みが中長期的に強みでなくなる可能性もある。そのため実行しているのがSIMAプロジェクトである。SIMAプロジェクトについては後述する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 新晃工業 Research Memo(5):一貫生産や需要精度の高さなどが強み