1stSTEPにおける重要戦略は順調に進捗している。成長分野への投資では、津軽工場増築が2021年11月末に竣工し、2022年1月より本格稼働を開始した。パワー半導体やウェアラブル向けなど最先端製品とメッキ加工の生産能力が増強される予定である。進捗は計画通りで、まだ全設備が導入されておらず、生産ラインも随時立ち上げている段階だが、納期への対応は今のところ順調のようだ。収益力強化に関しては、コア技術の金型製作が、熟練の技術者育成に長期間かかり加工工数も多いため、自動化を推進して低コスト化を進めている。自動化は順を追って投資していくため、成果も段階を経ながら生じていく計画で、最終的には自動一貫生産体制のスマートファクトリー化を目指している。その結果、短中期的な収益性改善だけでなく、価格競争力の維持や需要獲得に向けた提案、蓄積したノウハウによる他の工場への横展開、加工データを活用した技術伝承なども進めていく方針である。先端技術の燃料電池部品もこの1年、電動アシスト自転車への「ガス拡散層一体型セパレータ」の搭載や、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共通課題解決型産学官連携研究開発事業への採択、山梨大学などと寄稿した論文の『Journal of Power Sources』(Elsevier社)への掲載(オープンアクセス版)、流路付きガス拡散層(GDLFC+)の結露や拡散過電圧上昇の抑制の実証などが順調に進捗した。特にNEDOのプロジェクトに「ガス拡散層一体型セパレータ」が採択されたことは、国の予算がつくうえ、専門家や専門機関のフォローも期待できるため、実用化に向けてステージが一段上がったという印象である。