■事業概要

1. 事業の内容
アドバンスクリエイト<8798>は保険代理店事業、ASP事業、メディア事業、メディアレップ事業、再保険事業の5つの事業を展開している。事業別の売上構成比(2022年9月期第2四半期累計)で見ると、保険代理店事業が売上高の67.0%、営業利益の63.4%を占める主力事業となっているが、2017年9月期にメディアレップ事業、2018年9月期にASP事業を開始するなど事業領域を拡大してきたことで、徐々に構成比は下がってきており、収益ポートフォリオの多様化が進んでいる。連結子会社としては、メディア事業とメディアレップ事業を展開する(株)保険市場、再保険事業を展開するAdvance Create Reinsurance Inc.の2社がある。

(1) 保険代理店事業
保険代理店事業では、同社の保険選びサイト「保険市場」を通じて資料請求や問い合わせなどがあった見込み客に対して、通信販売やネット完結型の非対面販売、同社直営店舗である「保険市場 コンサルティングプラザ」での販売や、提携代理店での販売など多様な販売チャネルを通じて、保険商品の販売を行っている。なお直営店舗での販売については、従来の対面型販売に加えて2020年3月からビデオ通話システムを用いたオンライン型での保険相談も開始した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けて非接触での面談ニーズが増加したことに対応したもので、さらにそこから得られた知見をベースに保険業界に特化したビデオ通話システム「Dynamic OMO」を独自開発し、2021年11月より大阪本社内にオンライン専門の営業拠点となる「保険市場 スマートコンサルティングプラザ」を開設した。

販売する保険商品は生命保険や損害保険、少額短期保険など個人が利用する保険商品のほか、法人向け保険商品も取り扱っており、2022年6月時点の同社の取扱保険会社数は95社(生命保険31社、損害保険28社、少額短期保険36社)、保険商品数では200点を超え業界最大規模を誇っている。

保険代理店事業における売上の主な内容は、保険会社から支払われる手数料収入となる。保険契約者が保険会社に支払った保険料に対して、定められた手数料率を乗じたものが保険会社から同社に支払われる。生命保険など支払いが複数年にわたるものは、初年度と次年度以降で手数料率が変動するタイプの商品もある。手数料率に関しては会社ごと、保険商品ごとに様々だが、傾向的には貯蓄性の高い商品の手数料率が低く、逆に掛け捨て型の商品は高くなる。なお、提携先の代理店で販売契約したものに関しては手数料収入を約半分にシェアする格好となるが、販売契約のための人件費等が掛からないため、利益額としては直営店で販売した場合と比較して大幅に劣後することはない。そのほか同事業には、保険選びサイト「保険市場」に掲載される広告収入がメディア事業との内部取引高として計上されている。

販売拠点としては、2022年6月14日時点で直営11店舗(スマートコンサルティングプラザを除く)、提携代理店が565店舗となっている。直営店に関しては交通至便な都市部のランドマークビルに出店し、金融商品に対するリテラシーが高いアッパーミドル層を中心に販売していく戦略で、営業スタッフは2022年3月時点で100名程度となっている。また、直営店でカバーしきれないエリアの見込み顧客を提携代理店に送客している。提携代理店に関しては、各社のガバナンスやコンプライアンス体制、セキュリティ管理体制等のチェックを定期的に実施することで、代理店の質を維持している。

なお、オンライン保険相談の「スマートコンサルティングプラザ」については、当初3~5名程度で立ち上げ、ノウハウを蓄積しながらネットリテラシーの高い若手社員を中心に増員していく予定となっている。提携代理店のなかにはオンライン保険相談を実施していない代理店も多くあり、オンラインの利便性を全国に届けられないといった課題があった。「スマートコンサルティングプラザ」の開設によって、直営店カバーエリア以外でオンライン保険相談を希望する見込み顧客に対しても同社で対応し、実面談が必要になった場合には提携代理店に送客することで収益機会を拡大していく考えだ。また、「スマートコンサルティングプラザ」には全国のコンサルティングプラザで行われるオンライン保険相談をモニタリングする本部機能を有しており、オンライン保険相談のノウハウを共有し、コミュニケーションの深化を図ることで、さらなる生産性の向上を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 アドバンクリエ Research Memo(2):国内最大級の保険選びサイト「保険市場」を運営(1)