■成長戦略・トピックス

オプティム<3694>は、過去数年間において研究開発に注力し「OPTiM Cloud IoT OS」による「〇〇×IT」の推進や「OPTiM AI Camera」をはじめとする新サービスを立ち上げることで、様々な業界で成果を挙げてきた。近年は、特性の異なる2つのDXが大きく発展していることから、デジタル化を「Industrial DX」と「Corporate DX」に分類し、新たな市場を開拓する方針としている。対象となる市場規模は巨大である。同社の試算によると「Industrial DX」と「Corporate DX」の全世界の潜在市場規模は約160兆円、日本だけに限定しても約9兆円(2019年の世界全体のGDP構成比5.8%より試算)と見ている。仮に「Optimal Biz」並みの市場シェア(40%)を獲得すると仮定しても、3.6兆円にのぼり、大きな市場の開拓に挑戦していることがわかる。

1. Corporate DX
「Corporate DX」は、全業種・産業を対象とした社内業務改善・効率化のためのデジタル化である。コロナ禍により、オフィス業務のデジタル化によるリモートワーク推進、業務効率化、コスト削減といったニーズが急拡大している。同社は、「Optimal Biz」等の提供を通じて累計18万社以上の顧客基盤を有しているが、この顧客基盤に対して、IoT向け遠隔操作サービスや認証セキュリティサービス、契約書管理サービスといった新たな提供価値を持つサービスを、販売パートナーを活用して提供することを目指す。

直近の事例としては、2022年2月に、店舗と来店客を簡単につなげるクラウドサービス「デジタマ」を販売開始した。同サービスは中小規模事業者のデジタルマーケティングを支援する統合型顧客管理サービスで、「デジタマ」という製品名には、デジタルでカスタマー(来店客)を玉(ギョク)のように大切な対象として大事に育てていく、絆を深める、寄り添う、という意味が込められている。小売店を対象としており、店頭接客管理、Webサイト編集、顧客情報管理、メール自動配信などの機能がクラウドで安価に利用できる。今後はサービス業界や医療業界などへ、業種特化機能や業種テンプレートを順次展開していく予定である。

また、2021年6月に販売開始した、AIを活用した契約書管理サービス「OPTiM Contract」は、契約書の分類・登録、検索や照会・通知、ユーザー・ファイルの権限管理など、一連の契約書管理業務を効率化することができ、AIによる検索性向上や期限の自動通知などの評価が高い。「OPTiM Cloud IoT OS」を基盤としているため、安心安全な環境下での契約書管理が可能となる。なお、これらの機能は令和3年度九州地方発明表彰において「文部科学大臣賞」を受賞した「契約書AI解析・管理システム」に関する特許がベースとなっている。

2. Industrial DX
「Industrial DX」は、個別産業を対象とした事業創造のためのデジタル化である。これまでの「〇〇×IT」戦略の推進により、同社のAI・IoTプラットフォームへの接続デバイスや産業向けキラーサービスが増加していることから、デバイスカバレッジの強化や産業用キラーサービスの開発・提供を継続して推進していく。

農業分野のトピックスとしては、2021年11月、ピンポイント散布シリーズに新しいラインナップ「ピンポイントタイム散布」サービスが加わった。同社はこれまでも「ピンポイント農薬散布」などにより、農薬や肥料の使用量を削減することに貢献してきたが、生産者から「適期に農薬等を撒けていない」という意見があり課題となっていた。新サービスでは、生育予測技術及び病害虫発生予察技術による防除の適期判定と、ドローンパイロットシェアリングサービス「DRONE CONNECT」の「ドローン農薬散布防除サービス」をとおして培った散布ノウハウを組み合わせることにより、同じ効果をより少ない農薬散布頻度によって実現し、環境負荷軽減に貢献する。平地だけでなく中山間地でも対応可能なことでも優位性がある。

建設・土木分野のトピックスとしては、2022年3月に、国土交通省が改定した「3次元計測技術を用いた出来形管理要領」において、3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」が国内で初めて要領に準拠したアプリケーションとなった。「OPTiM Geo Scan」は、スマートフォンまたはタブレットで土構造物などの測量対象をスキャンすることで、土木現場で求められる高精度な3次元データを生成できるアプリケーションである。従来の光波測量と比較すると、測量時間を最大90%削減することができる。要領に準拠したことにより、あらゆる規模の現場での起工測量から、中間出来高測量、工事の検査に使用する出来形測量など、工事の計画・設計や施工の開始から検査終了まで建設全体のプロセスを通じて一貫して利用でき、さらなる業務効率の改善を実現できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 オプティム Research Memo(7):利益を確保しながら積極的な成長投資を今期も継続