■ワイエイシイホールディングス<6298>の事業概要

2. ディスプレイ関連事業
液晶・有機EL(OLED)などの製造企業に対して、高度な加工技術と加熱技術(ドライエッチング技術と精密加熱技術)を土台として様々なソリューションを提供している。

近年、外部環境が鈍化していた同セグメントだが、直近ではコロナ禍における在宅勤務によってディスプレイへの需要が高まっていることなどが追い風だ。

3. 産業機器関連事業
同セグメントは、同社の祖業のセグメントである。蒸気と温風を利用した衣料・生地の仕上げ技術、包装技術などをコア技術としながらクリーニング業界やアパレル業界の顧客に対して省力化・自動化などのソリューションを提供している。

同事業においては、中国クリーニング産業の自動化を好機と捉え、積極的に本土への進出を行っているほか、日本においては民生クリーニングから産業クリーニング(リネン)の分野に軸足を移している。また、EC分野における紙包装にも積極的に進出を模索している。2022年4月にプラスチック資源循環促進法が施行されたことに伴い電子商取引において紙包装への需要が増すことを見込んでいる。同法の施行により脱プラが加速すること、EC事業の伸びは今後も堅調に推移することが見込まれることなどを考慮すると、新事業領域での事業拡大が期待される。

4. 電子機器関連事業
同セグメントは電力、医療、先端自動車部品の分野において、制御通信技術、精密温度制御技術などをコア技術としながら計測・制御通信機器、メディカル・防災関連製品、加熱装置関連製品など幅広いソリューションを提供している。特に近年は医療分野における人工透析装置が好調だ。透析を必要とする患者の原疾患が糖尿病性腎症となり、潜在的需要は拡大の一途となっている。国際糖尿病連合によると2021年時点での全世界における糖尿病患者は5億3,700万人であり、その数は2030年に6億4,300万人、2045年までには7億8,300万人に膨れ上がることが予想されており、同社の人工透析装置が貢献できる余地は大きいと言えるだろう。また、政府が2021年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画において、2030年度に総発電量に占める再生可能エネルギーの割合を36〜38%に高めるという野心的な目標を設定したことからも再生可能エネルギーの今後のさらなる普及が予測される状況だ。天候に発電量が左右される再エネの分野においては、電力の効率的な管理・使用が重要になってくる。そのなかで今後も同社の電力制御通信機器への需要は堅調に推移することが見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ワイエイシイ Research Memo(5):各セグメントの外部環境は今後も順調に推移する見通し(2)