新中期経営計画では、従来の経営ビジョン「すべての企業を世界につなぐ 言葉のコンシェルジュ」の下、新たな基本方針として「ビジネス環境の変化やデジタル化の進展に対応しつつ、業界・ドキュメント別に最適化された言語資産の活用モデルを確立し、対象市場でのプレゼンスを高め、持続的な成長を実現する。」が打ち出された。これまでの業界別に特化して専門性を高める戦略をベースに、新たに「ドキュメント別」という戦略視点が加わった。1つ目の重点施策は「ドキュメント集約メカニズムの構築」である。分野特化型機械翻訳「製薬カスタムモデル」の開発・販売により、人手翻訳が同社に集約し顧客内シェア拡大に成功した事例があるが、必ずしもすべての業界で同様の取り組みができるわけではない。対策として、より細かいレベル(ドキュメント軸)で専門特化領域を育成する。2つ目の重点施策は「ドキュメント別言語資産活用モデルの確立」である。同社の翻訳業務においてドキュメント別モデル作成により機械翻訳(MT)精度を向上させ、翻訳事業の売上利益率をさらに向上させる。3つ目の重点施策は「働き方改革や事業変革を支える経営基盤の整備」である。前中期経営計画期間では、翻訳周辺プロセスにおいてBPMS(Business Process Management System)の開発を進めたものの、途中で断念した経緯がある。今回は全体最適をトップダウンで推し進めるのではなく、個別のプロセスの改善を積み重ねることで生産効率の向上を図る方針だ。