■今後の見通し

1. 2023年3月期の業績見通し
キャリアリンク<6070>の2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比16.1%増の50,019百万円、営業利益で同4.9%増の4,642百万円、経常利益で同4.5%増の4,640百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.9%増の3,173百万円と増収増益が続く見通し。前期の13ヶ月決算から1ヶ月少なくなるものの、自治体向けやBPO事業者を通じたBPO案件の増加により、主力の事務系人材サービスで2ケタ増収が続くほか、製造系及び営業系人材サービスについても2ケタ増収を見込んでいる。

営業利益率が前期の10.3%から9.3%に低下するのは、新規BPO案件の増加による売上総利益率の低下が主因となる。BPO案件の生産性は立ち上げ初期は低く、業務をこなしていくことでプロセス改善を図り向上していく傾向にある。特に、2023年3月期は夏場以降にスタートする案件が多いため、業績も下期偏重型となる(第2四半期累計売上高は前年同期比40.0%増の22,736百万円、営業利益は同16.5%増の1,639百万円を計画)。

(1) 事業別売上見通し
事務系人材サービス事業は前期比15.2%増の42,753百万円となる見通し。BPO案件が前期の107件から130件に増加するほか、業務内容もIT要素を取り入れたBPO案件を積極的に狙いに行く。引き続き人員体制の強化や多様なニーズに適合する人材の育成などに取り組みながら、旺盛な需要に対応していく方針だ。

製造系人材サービス事業は前期比22.6%増の5,626百万円となる見通し。前期に開設した新規営業拠点での受注拡大を見込んでいる。直近はエネルギー価格や食材費が上昇するなど、国内景気の先行きに不透明感が強まっているものの、外国人労働者を主体としたコスト競争力の高いサービスを提供していくことで、2ケタ成長を目指していく。

営業系人材サービス事業は前期比26.5%増の1,347百万円となる見通し。営業体制を強化して新規商材の受注獲得に注力していく方針だ。また、既存のキャッシュレス決済サービス案件については、コンタクトセンターの増設による売上増を見込んでいる。新規案件が複数あることから増収は堅いものの、コロナ禍が続く場合は伸び率が限定的となる可能性もある。

(2) 重点施策
2023年3月期の重点施策としては引き続き、1)新規顧客・新規ビジネスパートナーの拡充、2)既存顧客・既存ビジネスパートナーとのさらなる関係性強化、3)常駐管理者が最大限パフォーマンスを発揮できる環境構築、4)コロナ禍においても迅速で最適な受託案件の運用実現、5)自治体からの受託案件の受注・BPO事業者からの大型案件の受注推進、等を挙げている。

特に自治体については、行政サービスのデジタル化推進が政府方針として掲げられるなか、IT要素を取り入れたBPO運用のニーズが拡大するものと見られている。これらの需要に対し、同社はマイナンバー・マイナポータル関連業務での運用実績を強みに、主要自治体への展開を推進していく戦略だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 キャリアリンク Research Memo(6):公共分野の新規BPO案件獲得により増収増益が続く見通し