■今後の見通し

1. 2023年3月期の業績見通し
早稲田アカデミー<4718>の2023年3月期の連結業績は売上高で前期比8.6%増の31,000百万円、営業利益で同18.0%増の2,149百万円、経常利益で同18.2%増の2,176百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同17.6%増の1,303百万円と増収増益基調が続く見通しだ。引き続き小学部を中心に塾生数の増加を見込んでおり、営業利益率も増収効果と校舎当たり塾生数の増加による固定費率低下により、前期の6.4%から6.9%に上昇する見込みとなっている。2022年4月末の塾生数は単体ベースで前年同期比11.5%増と順調な滑り出しとなっており、今後の夏期講習等の受講者数も同様のペースで伸長すれば、計画を上回る業績が期待できることになる。

(1) 部門別売上高と塾生数の見通し
部門別売上高は、小学部で前期比11.9%増の18,105百万円、中学部で同4.5%増の11,188百万円、高校部で同0.7%増の1,583百万円となる見通し。前提となる期中平均塾生数は、小学部で同13.7%増、中学部で同5.1%増、高校部で同4.4%増となる。塾生1人当たりの平均売上高は小学部で同1.6%減、中学部で同0.5%減、高校部で同3.5%減とそれぞれ低下を見込んでいるが、要因としては、学年別塾生数の構成比変化によるものとなっている(非受験年の塾生数の増加率が相対的に高い)。

2022年4月末の「早稲田アカデミー」の塾生数の状況で見れば、小学1年生が前年同期比79.4%増、2年生が60.2%増、3年生が同24.6%増、4年生が同21.7%増といずれも20%を超えており、特に4年生の塾生数が初めて5年生(受験コース)を上回った点は注目される。2024年3月期もこれら塾生数が繰り上がることで、継続的な売上拡大が見込めるためだ。なお、前第4四半期から加わった旧明光ネットワークの個別進学館事業については、売上高で6億円強の上乗せ要因となり、営業利益についてものれん償却後で若干の利益を計画に織り込んでいる。

(2) 校舎展開について
新規校舎の展開については、夏頃に個別進学館を1校、2023年春を目途に早稲田アカデミー(小学・中学部)、個別進学館で各1校を予定している。また、物件さえ見つかれば湾岸エリア(勝どき、天王洲等)での校舎展開をさらに進めていきたい考えだ。子会社の集学舎についても物件が見つかれば、2023年春に1校を開校する体制を整えている。加えて増床計画として、流山おおたかの森校についても1.5倍に増床予定となっている。そのほかも定員に近づいている校舎については適宜、増床・移転を検討していくことにしている。

(3) 費用の見通し
売上原価率は前期の72.4%から71.7%に低下する見込み。原材料費は前期に引き続き塾生数・受講者数の増加に伴う教材模試仕入の増加、及びオンライン英語関連の外注費増加により前期の13.5%から14.1%に上昇を見込んでいる。原材料費率については2020年3月期まで約10%の水準であったが、2021年3月期以降に13%超と水準が上昇している。この要因として、外注費率の高いオンライン英語レッスンの受講生が増加していることに加えて、小学生向け模試を選択制から必修制に段階的に切り替えたことが大きい。

一方、労務費率は講師などの増員を進めるものの、増収効果により前期の35.7%から35.2%に低下し、地代家賃の比率も同12.1%から12.0%に、その他費用の比率も同11.1%から10.4%とそれぞれ増収効果により低下する見通しとなっている。ただ、例年その他の費用については保守的に見積もる傾向にある。広告宣伝については引き続きWeb広告や交通広告等の費用対効果の高い施策を実施していくほか、人材採用のための広告費についても増やす予定にしている。

(4) 子会社の動向
子会社の動向については、野田学園が既卒生の低迷により厳しい業績が続く見通しとなっているが、他の子会社については引き続き塾生数の増加により増収増益が続く見通しだ。今後も相互のリソースを共有していくことでシナジーを高め、高い合格実績を積み上げていくことで成長を目指していく戦略だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 早稲アカ Research Memo(6):2023年3月期も小学部を中心に快進撃が続く