■要約

システムインテグレータ<3826>は独立系のソフトウェア開発会社で、「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」をコーポレート・スローガンに企業の生産性向上に寄与するソフトウェア・サービスの開発・販売を行っている。データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(以下、OBPM Neo)」等のObject Browser事業のほか、E-Commerce事業、ERP・AI事業を展開している。また、働き方改革や育児支援等に積極的に取り組んでおり、社員からの評価も高い企業として知られている。2022年5月からの東京証券取引所(以下、東証)市場区分再編に伴い、東証スタンダード市場に移行した。

1. 2022年2月期の業績概要
2022年2月期の業績は売上高で前期比13.1%増の4,817百万円、経常利益で同39.0%増の588百万円と2期ぶりに増収増益に転じた。「OBPM Neo」のクラウドシフトによりObject Browser事業が減益となったものの、EC市場の拡大を背景にE-Commerce事業の収益が大きく伸長したほか、ERP・AI事業も前期に発生した不採算プロジェクトの納品が完了し利益が回復した。なお、ディープラーニング異常検知システム「AISI∀-AD(Anomaly Detection)」については、実際の製造ラインで稼働予定であった案件の検収時期が2022年5月にずれ込んだため、売上計上には至らなかった。

2. 2023年2月期の業績見通し
2023年2月期の業績は、売上高で前期比3.8%増の5,000百万円、経常利益で同2.4%増の603百万円となる見通し。E-Commerce事業では、前期に受注した大型開発案件が顧客事情により中断となり、計画を大幅に見直したことから減収減益となるものの、Object Browser事業及びERP・AI事業の伸長によりカバーする計画となっている。また、プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は契約件数の増加により着実な成長が見込まれるほか、2021年秋にリリースしたカスタマーサクセス支援ツール「VOICE TICKETS(ボイチケ)」やアイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」についても拡販活動を進めていく予定だ。このほか、開発体制の強化を目的に2022年6月にベトナムに子会社を新設し、3年後に50名程度の開発体制を構築する計画を掲げている。

3. 中期経営計画について
2022年2月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SDGs Mind 2021」では、基本方針として、既存事業の拡大、海外開発拠点の確立、新規事業の開発や収益化、社員のスキル向上、全社的な合理化に取り組んでいる。業績目標値については、世界情勢の不安定化が国内経済に影響を及ぼしてきていることを鑑み、最終年度の2024年2月期に売上高5,700百万円、経常利益803百万円と当初目標値(売上高6,200百万円、経常利益966百万円)から引き下げ、堅実な計画に修正した。2023年2月期は一旦成長が減速するものの、2024年2月期は2ケタ増収増益に回復する見通しだ。

■Key Points
・2022年2月期はE-Commerce事業がけん引し、2ケタ増収増益に転じる
・2023年2月期はE-Commerce事業の落ち込みをその他の事業でカバーし、増収増益を確保する見通し
・景気見通しが不透明になりつつあることから、中期業績目標を堅実な計画に修正

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 SI Research Memo(1):Object Browser事業及びERP・AI事業の拡大により増収増益を見込む