a) インドにおける動向 今後は、インドにおける大躍進が期待される。インドは2014年10月に「クリーン・インディア」プロジェクトをスタートさせ、家庭、小中学校、公園などにトイレを整備する目標を掲げた。2017年4月には、インド全土において18,000m2超の産業施設及び延床面積が2,000m2以上の居住施設に対して、水質の汚濁状況を表すBOD(生物化学的酸素要求量)が従来のBOD30からBOD10へ強化された。既設のセプティックタンク(腐敗槽)では、強化された規制をクリアできない。インドは下水道普及率が30%前後にとどまっており、中央排水処理設備が十分でない。そこで生活排水処理のキャパシティ不足が都市化のスピードを妨げないための手段として、同社の浄化槽の導入がコスト・スピード面で最適であるとインド政府より評価を受けた。
同社は、段階を追って堅実に事業を拡大してきた。まず2016年7月に、インド政府に浄化槽を寄贈した。浄化槽(処理能力10m3/日)の設置場所は、公園内のトイレ、村の公衆トイレ、プラスチック工場の排水処理用の3ヶ所であった。2018年7月に、100%出資のDAIKI AXIS INDIA Pvt. Ltd.(以下、DA-India)を設立し、インドネシアにある自社工場から輸入していた浄化槽を、現地生産に切り替えた。人員面と時間短縮を考慮して、同社の代理店でもあるローカルのプラスチック製品製造会社へ生産委託している。生産品目は、20~50世帯に対応するカプセル型浄化槽である。生産能力は当初年間100台であったが、2021年9月に生産能力を月30台に拡大した。それでも需要に供給が追いつかず、インドネシアから一部輸入して補っている。
2021年2月には、インド商工会議所連合会から第8回Water AwardのInnovation in Water Technology部門でFirst Prize(金賞)を受賞した。同賞は、インド全土の連合会の評議員及び会員から推薦された数百社の中から、インド水環境への貢献度や技術的完成度の高さなどを基に、各部門1社のみが選ばれる賞である。日本企業による金賞受賞は、これが初となった。