■今後の見通し

1. 2022年12月期業績の見通し
ASIAN STAR<8946>の2022年12月期の業績見通しは、売上高が前期比35.2%増の3,439百万円、営業利益が110百万円(前期は3百万円の損失)、経常利益が2,515.1%増の111百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が69百万円(同21百万円の損失)となっている。なお、2021年12月期末において、連結子会社(孫会社)である陽光智寓(香港)公寓管理有限公司の全株式と、上海陽光智寓公寓管理有限公司の全持分の譲渡が完了している。2021年12月31日をみなし譲渡日とし、2社が連結の範囲から除外された。

(1) 不動産販売事業
不動産販売事業では、横浜エリアを中心とした戸建、土地、マンション等の販売戸数の増加、事業用地の買取再販及び前期より繰り越しとなっているリゾート用地の売却を目指す。これによって増収増益を見込む。

(2) 不動産管理事業
不動産管理事業は、日本国内及び中国においてサービスの向上や内容の拡大に努め、安定的な収益獲得と新規の管理受託件数増加を目指す。緩やかな増収と増益が予想される。

(3) 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、稼働率の維持及び物件のバリューアップによる収益増加に努めることで、緩やかな増収と増益の見通しとなっている。

不動産管理事業と不動産賃貸事業については、中国での入国規制等により外国人の流動性が抑制されたため、不動産稼働率が悪化したこと及び政府の不動産取引の抑制政策等により住宅購入が規制されたことなどを受け、成約率が著しく低下したが、日本人向けのサービスアパートメントの賃貸管理について、現状は駐在員の入国が増えて回復傾向にある。

(4) 不動産仲介事業
不動産仲介事業は、投資用・居住用物件の積極的な斡旋により取扱件数の増加を目指す。同社は、中国において自社開発物件がないため、コロナ禍においては大きな影響はないものの、既存物件の管理について投資家の借入が減り、売買の件数が減少した。進行期の2022年12月期では、1~2月について、旧正月が重なったことなどで厳しい状況が続くが、2022年は中国政府による不動産取引抑制の施策緩和の傾向が見られることや、これまでの抑制の反動で、2022年12月期半ばからの回復が期待できると弊社では見ている。このため、緩やかな増収増益が予想される。

(5) 投資事業
投資事業においては、中国及び日本企業のアドバイザリー及びコンサルティング業務の受託件数増加を見込み、売上高とセグメント利益は前期並みの見通しとなっている。


中期経営計画は一部停滞も、医療サービス開始に向け準備を進める
2. 中期経営計画の進捗状況と今後の見通し
同社は2020年12月期よりスタートした中期経営計画の基本方針として、事業基盤である不動産サービス事業を強化拡大するとともに、付加価値創造事業分野と位置付けた5分野(生活・娯楽(ライフスタイル)、医療・健康(ヘルスケア)、教育(エディケーション)、観光(インバウンド)、エネルギー(再生可能エネルギー))の成長企業とのコラボレーションに よるアジア展開を推進し、同社の企業価値・株式価値の向上を目指している。

重点施策としては、上海地産グループ、遠東宏信医院集団有限公司、海南太禾控股集団有限公司の3社との戦略的提携が挙げられる。日本における高い付加価値を誇る事業分野として同社は、医薬品・医療機器にフォーカスし、遠東宏信医院集団、海南太禾控股集団と中国国内で本格的な事業展開を行う予定であった。中国国内での新型コロナウイルス感染拡大により、遠東宏信医院集団との戦略提携に関する具体的協議は中止となったものの、海南太禾控股集団との提携は継続する。同社とは、2020年12月11日に海南島紅旗国際健康産業タウンプロジェクト開発に関する覚書に調印している。また、医療ツーリズム等のコーディネートサービス事業を進め、先進医療治療・訪日健康診断が行えるよう、現在はシステムを含めて準備中である。日本側の入国規制が緩和されればサービスを開始することとなっている。

また、2022年12月期より呉文偉氏が代表取締役会長となり、中国でのさらなるサービス及びビジネスの拡大を狙う。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 エイシアンスタ Research Memo(5):不動産管理事業、不動産仲介事業、不動産賃貸事業での収益向上を目指す