■Abalance<3856>の会社概要

3. 事業内容
同社グループは、グリーンエネルギー事業と2021年6月期第2四半期より新たに加わった太陽光パネル製造事業を両輪とした、再生可能エネルギーの総合カンパニーを形成している。2022年6月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比で見ると、売上高は太陽光パネル製造事業で85.2%、グリーンエネルギー事業で13.6%、セグメント利益では太陽光パネル製造事業で26.6%、グリーンエネルギー事業で74.0%と両事業で大半を占めている。売上高とセグメント利益の構成比に差があるが、これは当第2四半期累計期間において太陽光パネル製造事業の収益が一時的に悪化したことによる。

(1) グリーンエネルギー事業
同社グループでは、ソーラー発電に関する企画・開発から施工、O&Mまでを一貫して行う垂直統合型のワンストップソリューションを展開しており、近年ではストック型ビジネスによる安定収益基盤の強化を目的に、発電所の自社保有化による売電収入の拡大を推進している。そのほか、ソーラーパネル及び関連商材(パワーコンディショナ(以下、PCS)、蓄電池等)の仕入販売やソーラー発電所の販売(中古案件含む)なども行っている。また、エネルギー需要が旺盛な東南アジア圏や台湾などで現地企業との合弁等により、EPC事業※1やIPP事業※2なども行っている。

※1 EPC事業とは、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を含む、プロジェクトの建設工事請負事業のこと。
※2 IPP(Independent Power Producer)事業とは、自らが所有する発電設備で作った電力を電力会社に卸売する事業を指す。


顧客は、ソーラー発電所を保有する国内外のIPP事業者のほか、住宅用ソーラーパネル及び関連商材の卸販売会社や一般事業会社及び公共団体等(ソーラーパネル設置工事)となる。ソーラーパネルは、自社ブランド「Maxar(R)(マクサ)」を販売している。マクサブランドのパネルは性能、価格面ともに大手中国メーカー製と遜色はなく、変換効率が上回る製品もラインナップしている。PCSについては信頼性の高い大手メーカーから、蓄電池については自社の開発チームで中国大手メーカーと共同開発している。ソーラー発電所の建設エリアとしては、東北から千葉圏を中心とする関東エリアのほか、近畿並びに九州エリアとほぼ全国的に展開しており、東日本エリアはWWB、九州エリアはバローズが主に手掛けている。また、2021年以降はソーラー発電所の自社保有を目的としたM&Aも積極的に行っている。

そのほか新規事業としてWWBが、北海道檜山エリアにおいて風力発電所(陸上・小型)の初期開発を行い、2020年3月より売電を開始したほか、蓄電池事業についても産業用・家庭用蓄電池に参入する構えとなっている。同社はこれに先駆けて折り畳み式軽量モジュールをセットにしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発し、2019年10月より販売を開始した。また、2021年3月には太陽光パネルの廃棄処理問題の解消に貢献すべく、リユース・リサイクル事業を行うPV Repowerを新設した。さらに、断続的グリーンエネルギーの平準化を目的としたグローバルイノベーション企業としてバーディフュエルセルズを新規設立し、未来の新エネルギーとして期待される水素エネルギー貯蔵システムの開発に取り組んでいる。

(2) 太陽光パネル製造事業
太陽光パネル製造事業は、2021年6月期第2四半期から新規連結化したベトナムの太陽光パネルモジュールメーカーであるVSUNの事業となる。VSUNはFUJI SOLAR傘下の会社として2015年6月に設立され、日本の技術者のノウハウを注入しながら育成し、年間生産能力で2.6GWの規模にまで成長した。生産量では世界ランキングに入るとしており、日系企業のなかではトップメーカーとなっている。当初は欧州向けを中心に輸出していたが、米国市場での開拓が進んだことで事業規模も急成長している。

また、グローバルサプライチェーン戦略、日本の品質管理体制の下、先進的な自動生産ラインを完備するVSUNの事業実績が評価され、英国グローバルメディアのAPAC Insiderが授与するAPACビジネスアワードにおいて、「Best International PV Solar Manufacturer-Asia Pacific」賞を受賞したことを2022年1月に発表している。

業績は創立以来の急成長を続けており、今後も拡大する需要に対応するための設備投資資金の獲得を企図して、ベトナム「UPCoM店頭市場」への株式公開に向けて準備を進めている。資本構成について見ると、WWB子会社のFUJI SOLARを通じた間接所有となっており、実質所有割合は約43%、残りは非支配株主持分となる。VSUNのIPOを実現した後にも、連結子会社として維持していく方針となっている。

(3) IT事業
IT事業は、子会社のAbitで企業の業務効率化を支援する情報共有・ナレッジマネジメントツール「KnowledgeMarket(R)」やMicrosoft 365を活用したDX支援サービス、そのほかRPA製品を活用した効率化・省力化サービス等を提供している。近年はIoT、RPA、AI等の成長分野にフォーカスしているほか、IT技術を生かしてソーラー発電所向けの遠隔監視システムの開発なども行っている。

(4) 光触媒事業
光触媒事業は、子会社の日本光触媒センターで光触媒酸化チタンコーティング剤とそれを利用した製品の製造販売等を主に行っている。光触媒とは、太陽光や蛍光灯などの光エネルギーがあたると、その表面で触媒反応による酸化分解が起き、有害な微生物や化学物質を分解・除去する作用のことを指す。この原理を活用して、対象物に光触媒酸化チタンコーティング剤を塗布することで、防汚機能、大気浄化機能、空気浄化・脱臭機能、シックハウス対策機能、抗菌・抗カビ・抗ウィルス機能などの効果を持たせることが可能となる。

こうした光触媒の機能を活用して、建物や店舗の外壁・フロント、病院・福祉施設の室内、トイレ・バスルームなどの建材向けに販売してきたが、コロナ禍によって光触媒効果の1つである抗菌・抗ウィルス機能が注目されたことで、感染症対策製品となる抗菌・抗ウィルス製品「blocKIN(ブロッキン)」の販売を2020年3月より開始し、銀イオン(Ag)を配合したハイライン製品「blocKIN HYPER(ブロッキンハイパー)」も市場投入するなど、ラインナップを充実させた。

また、医療機関や介護医療施設、ホテル、学校、保育園、公共施設、食品加工工場、レストラン、カラオケボックスなど各種施設向けに抗菌・抗ウィルス施工サービスを行う「光触媒LIFE」事業を2020年に立ち上げ、販売代理店やフランチャイズ(以下、FC)展開を開始し、現在100社以上の代理店またはFC契約を締結した。日本光触媒センターの光触媒溶液の主原料は水と酸化チタンであり、化学物質を含まない独創的技術性により高い抗菌・抗ウィルス効果、脱臭性、持続性などを強みとしている。

(5) その他
その他事業として、WWBにおいて建設機械の販売・レンタルリースを国内及び東南アジアで展開している。中古建機の取り扱いで強みを持ち、中国の世界的建機メーカーである三一重工やサンワードの正規代理店となっている。顧客は国内外の建設会社や土木工事会社、物流関連会社、輸出入販売会社等である。ここ最近では、東南アジアのODAプロジェクトで現地に進出している日系ゼネコン会社向けの受注を獲得しているほか、ソーラー発電プロジェクトの建設現場で利用するなど、事業間の連携も進んでいる。WWBは東京港・大井5号コンテナターミナル(CT)にトップリフター3基を納入し、今後も港湾関係の需要に迅速な対応をしていく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 エーバランス Research Memo(4):「グリーンエネルギー事業」と「太陽光パネル製造事業」が両輪