■Abalance<3856>の会社概要

2. ESG・SDGsへの取り組み
企業の長期成長性を判断する指標として、近年ESG(環境対応・社会責任・企業統治)が注目を集めている。地球環境や地域・国際社会、ステークホルダーへの価値提供により企業を評価し、いかに持続的な成長ができるかを推測しようとする国際基準で、日本企業も評価されている。ESGへの取り組みは同社グループの理念に合致するものであり、経営戦略へ積極的にESG視点を取り入れるとともに、SDGsの専門家を社外役員として登用している。

グリーンエネルギー事業は、持続可能な脱炭素化社会の実現を企図したものでSDGsの潮流に沿っている。2030年までに国内と海外を合わせて発電能力で1GW(=1,000MW、原子力発電所1基分に相当)の発電所を保有する目標を立て、地球温暖化防止のためCO2削減に貢献することを掲げている。グリーンエネルギー事業の推進は、SDGs7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、SDGs11(住み続けられるまちづくりを)、SDGs13(気候変動に具体的な対策を)への貢献と見ることができる。

また、海外事業では、ベトナムのホーチミン付近における太陽光発電所建設のほか、東南アジア諸国における現地の電力需要に応える複数のプロジェクトを手掛けている。東南アジアにグリーンエネルギーを届けることは、地域のインフラや社会生活を支える重要な国際貢献の意義を持っている。都市部を離れた地域によっては日が沈むと闇に包まれてしまう環境があり、そうした地域にもグリーンエネルギーの光を届けたいと同社は説明している。

WWBは新製品の開発にも定評がある。農業と発電事業を同時に行うことができ、農地に支柱、地上空間に太陽光発電設備を設置するソーラーシェアリングの手法は、農業経営の安定化や後継者の育成のほか荒廃農地の解消にも貢献する。また、近年、頻発する大型台風による風雨災害とそれに伴う停電の発生を受けて、災害時の家庭用電源の利用に最適な折り畳み式軽量モジュールをセットにしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発している。災害対策に取り組む自治体などから有事に備えての引き合いが増えており、熊本県人吉市、宮崎県小林市、えびの市、宮城県角田市、福島県本宮市等へ寄贈も行っている。

SDGsが広がりを見せる以前から、同社グループはWWBを中心にSDGsに根差す活動を行っている。2011年3月に発生した東日本大震災の福島第一原発事故の際には、三一重工(SANY)※製の大型コンクリートポンプ車(通称:大キリン)の寄贈協力を行った。緊急時に利用するため、福島第一原子力発電所の構内に保管され、現在も使用可能な状態にある。車両やすべてのパーツが正しく作動するかなどについても、WWBはメンテナンス作業やパーツ交換などを無償で対応している。

※三一重工は、米国キャタピラーやコマツ等と競合する中国の世界的建設機械メーカー。WWBは日本における正規代理店となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 エーバランス Research Memo(3):ESG視点を持ち、事業を通じてSDGsへ貢献