■コスモ・バイオ<3386>の成長戦略

4. 資本提携・業務提携戦略
ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場(食品、医薬品などの分野)への展開も見据え、新たな事業基盤の創出に向けて資本提携・業務提携も推進している。

2018年4月には、生体内の標的とするタンパク質の分解を誘導することにより新規医薬品の研究開発を行うファイメクスに出資した。2018年6月には学校法人麻布獣医学園と、麻布獣医学園の出願特許「アミロイドタンパク質を抽出する試薬」に関する実施許諾契約を締結した。アミロイドという線維構造を持つタンパク質だけを選別して抽出できる画期的な技術であり、本技術を用いてアルツハイマー病などの研究に極めて重要なツールを提供している。


3ヶ年計画の進捗は順調
5. 3ヶ年計画の進捗
3ヶ年計画の2021年12月期末時点の進捗状況としては、商社機能の強化では、CRM情報を活用した販促戦略や商品情報提供の充実を推進している。製造機能の強化では、カタログ品ラインアップ強化に向けて、2021年12月に、学校法人酪農学園大学の技術を商品化し、酵母由来の細胞外小胞を研究用試薬として販売開始した。またエムティーアイから譲り受けたエピトープ解析システム「MODELAGON(R)」の改良開発を行った。

企業価値の向上に向けた取り組みでは、働き方改革、業務効率化、リスク管理の徹底、人材育成などを推進している。2019年5月の本社オフィスフロア移転と同時に、働き方や職場環境の見直しを実施した。IT環境やコミュニケーション・会議エリアの充実など働きやすい職場環境を整備し、グループ3社が同一オフィスで業務を行うことによる交流・シナジー、生産性向上・業務効率化を推進している。新型コロナウイルス感染防止策として在宅勤務を実施しているが、本社オフィスフロア移転に伴ってリモートワーク等の環境を整備していたことが奏功し、短期間に在宅勤務に移行できたとしている。

そのほかの取り組みでは、取締役及び従業員に対して譲渡制限付株式報酬/付与制度を導入した。取締役、従業員が力を合わせて事業に貢献し、企業価値を高めていくことを目的とする。また、コーポレートガバナンス体制のさらなる強化を図るため、2022年3月に開催予定の第39回定時株主総会での承認を経て監査等委員会設置会社に移行予定である。3ヶ年計画の進捗は順調としている。


自社製造・受託サービスの成長で収益拡大・高収益化期待
6. 自社製造・受託サービスの成長
同社は10年後の姿を見据えた事業戦略として、メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開を推進する方針を打ち出している。新市場への展開では食品や医薬品などの分野での原料供給なども構想している。弊社では、カスタムペプチド・抗体作製サービス事業、及び鶏卵バイオリアクター事業を中心とする自社製造・受託サービスの成長で、中長期的に収益拡大・高収益化が期待できると評価している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


<EY>
情報提供元: FISCO
記事名:「 コスモ・バイオ Research Memo(8):新たな事業基盤創出に向けて資本提携・業務提携も推進