■事業概要

フェイスネットワーク<3489>は、城南3区を中心に不動産投資支援事業及び不動産マネジメント事業を展開している。主要顧客は機関投資家、事業会社、個人富裕層などであり、販売は不動産投資セミナー開催を中心としたプル型の販売体制を整えている。また、販売パートナー(不動産仲介業者、販売協力会社、士業従事者など)向けにタイムリーな情報提供することを目的として、2020年11月に販売物件情報サイト「ProPartner(プロパートナー)」を開設した。

1. 不動産投資支援事業
不動産投資支援事業では、不動産投資用の新築一棟RCマンション及び中古一棟ビルリノベーション、不動産小口化商品の企画・開発・販売を行っている。

新築一棟RCマンションでは、自社ブランドGranDuo(グランデュオ)シリーズを展開している。同社がメインターゲットとする城南3区は「住みたい街」の上位にランクされる人気エリアで、通年の賃貸入居需要が多く、賃料相場も高く長期安定的な収益性を実現できる立地だが、一方では建築規制が厳しいため設計・プランニングも難しいという立地特性がある。このような立地特性に対応して、戸建てには価格が高く、区分販売マンションには規模が小さくて向かない100平方メートル~200平方メートル程度の土地を取得し、鉄筋コンクリート造(RC造)5階建て、家賃10万円弱、部屋数15戸程度、その約7割が20平方メートル~25平方メートルのワンルームを中心とした自社企画開発物件を主力商品としている。不動産オーナーが長期安定的な収益性の確保を図れるような物件の提供をコンセプトに、安定した賃貸収入が得られる物件を目指して、入居者のメインターゲットとなる20代から40代の女性向けにデザイン性と居住性の両立により入居者視点での住みやすい部屋づくりを行っている。

GranDuoシリーズのトピックとしては、「GranDuo西荻窪」の開発が挙げられる。壁式構造を採用した地上7階建ての高層物件で、2021年9月着工、2022年9月竣工予定となっている。壁のみで建物を構成する壁式構造は、居室内の柱や梁などによる凹凸を減らすことができ、耐震性にも優れているなどのメリットがあることから、同社では積極的に採用している。建築業界では、これまで6階建て以上の壁式構造は構造計算上困難とされていたが、同社は設計・施工に関するノウハウを最大限に活用することで構造計算上の課題をクリアし、壁式構造6階建て以上の建物の設計・施工を可能にしている。「GranDuo西荻窪」は、外装に白色系のアースカラーのタイルを施しており、アプローチ周辺には大判タイル、間接照明、折り上げ天井等を設け、高級感を持たせたデザインとなっている。また、1LDKなどの居室においては収納スペースを多めに確保し、様々なライフスタイルに合わせた居室空間となっている。

中古一棟ビルリノベーションでは、自社ブランドGrandStory(グランストーリー)シリーズを展開している。現代社会に求められるスタイルによって姿を変化させる「創作支援型シェアリング」として2017年5月から販売を開始し、シェアオフィス、シェアハウス、リノベーション賃貸などのタイプがある。GranDuoシリーズで培った企画・開発ノウハウを活用して利回りを追求しつつ、若者やクリエイターを応援したいと考える不動産オーナーの社会貢献の思いに応える物件をコンセプトとして、新たなニーズを掘り起こしている。

不動産小口化商品では、不動産特定共同事業法を活用して、不動産小口化商品事業「Grand Funding(グランファンディング)」を展開している。一棟マンションを小口化して共同持分で所有できるため、投資家の資産状況に応じた投資が可能となる。

2. 不動産マネジメント事業
不動産マネジメント事業は、不動産オーナー及び同社が保有する不動産を管理・運営(入居者募集、入退去更新手続、賃貸借条件の交渉窓口、クレーム対応、入金管理、資産価値向上のための施策立案・実践、メンテナンス、所有者向け送金、所有者向けレポート作成など)するPM事業を行っている。収益は受託管理手数料と、販売物件を在庫として保有している期間の家賃収入である。管理運営受託戸数の積み上げによってストック型収益となる。

入居者募集については自社の賃貸仲介業務を担う「3区miraie(ミライエ)」で行っている。自社の賃貸物件を専門に扱うことで、入居希望者に城南3区や物件の魅力をより深くアピールできるため、不動産オーナーにとって物件の収益性を高めることにつながっている。

3. 特徴・強み
同社は、土地の仕入れから設計・施工・賃貸募集・物件管理・一棟販売まですべてを一括して管理する「ワンストップサービス」を提供し、特に自社で設計・施工していることが強みとなっている。一般的な不動産デベロッパーの場合は、不動産会社が土地を仕入れ、設計事務所が設計、工務店が施工、不動産仲介会社が賃貸募集、管理会社が物件管理という分業体制になっていることが多いが、同社の場合は自社内に設計・施工体制を整え、ワンストップですべての工程管理やコスト管理を行っている。この「ワンストップサービス」によって、中間コストの削減が可能となっている。これは不動産オーナーの利益にもつながるため、不動産オーナーに高く評価されており、結果として仕入用土地情報を得やすくなり、多数のリピート受注・販売につながっているようだ。このほかにも、「ワンストップサービス」によって工期の短縮や収益性を高める企画の実行など、様々なメリットを生み出している。なお、2021年3月末時点の従業員の構成比は設計・プランニングが15%、施工が25%を占めている。また、協力会社も活用することで、販売物件の約半分を自社で設計・施工している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 フェイスNW Research Memo(3):土地の仕入から一棟販売まで一括管理するワンストップサービスが強み(1)