中期経営計画では海外ネットワークを5つに区分けし、この5つのリージョンで事業が完結する仕組みを構築することで、グローバル展開に弾みを付ける方針だ。欧州では、キーセット事業に加えドアハンドル事業に参入することを目的に、2018年10月にSocoete de Peinture de Pieces Plastiques SASを取得、環境規制の厳しい欧州で既存塗装設備を活用したビジネスの早期立ち上げを行った。既にRenault S.A.(ルノー)などにバックドアハンドルを納入しており、今後はVW以外でのビジネス拡大が視野に入る。ドアハンドル事業では、ハンドルがドアパネルに格納される「フラッシュハンドル」を搭載する欧州車も普及し始めていることから、ハンドルの高付加価値化も期待される。VW向けについては、欧州でキーセット事業でのフルライン受注を目指すほか、北米向けではインサイドハンドルなどの納入を始めた。中国では、2019年4月に中国の自動車用メッキ部品製造会社のADVANCONを子会社化した。ADVANCONは最新鋭の設備を所有しており、中国での環境規制強化のなかでも優位性があることから、2023年3月期以降の中国ビジネス拡大に寄与すると弊社では見ている。また、新市場としては、中国でのRKPS(リモートキーレスエントリー&プッシュエントリースタート)事業も順調に拡大しており、既に4社で採用されている。今後は、中・小型トラック向けにも採用を広げる方針で、中国トラック市場での新たな事業展開が見込める。北米は主要得意先以外での拡大がポイントとなるが、既にVW向けハンドルビジネスを2020年に開始している。日本では、非製造部門の徹底したスリム化などを実行することで、営業黒字化を目指す。特にVWについてはEV化が鮮明であることから、今後も同社業績に貢献すると見られ、目標達成の確度は高いと弊社では予想している。
ロッカーシステム部門では、アフターコロナを見据えてリモート対策や置き配など、新たなビジネス展開が重要となる。この分野では、オンラインで注文した商品を店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pickup In Store)での展開を加速している。一例を挙げると、2020年11月に、店舗側システムと連携し、QRコードを使って受け渡しができる「STLシリーズ」を発売した。このロッカーは、従来店頭で受け渡していた商品を、クラウド管理されたロッカーを介して非対面で顧客に受け渡すことができる。店舗効率化と顧客への利便性提供が同時に図れることから、コロナ禍対策として調剤薬局や飲食店等、多様な業態での利用が期待される。実際、クオール(株)が展開するクオール薬局や(株)まろんが展開するマロン薬局等で、処方箋医薬品等を非対面で店頭受渡しをするロッカーとして採用されている。同分野は、オンライン診療の拡大により調剤受渡しの拡大も予想され、潜在市場としての期待も大きい。加えて、スーパー、ホームセンター、クリーニングなどの業態にも拡大が見込まれることから新たな展開が期待される。また、ターミナルロッカーについては、ネットワークによる管理機能に対応した「ICカード対応AISシリーズ」の投入などにより、さらなる事業の拡大を目指す。