■シュッピン<3179>の決算概要

3. 四半期業績とKPIの推移
(1) 四半期業績の推移
四半期売上高の推移を見ると、コロナ禍の影響により前期(2021年3月期)第1四半期に大きく落ち込んだものの、第2四半期からは「巣ごもり需要」による追い風や各施策の効果もあり、EC売上(自社サイト)が好調に推移し、コロナ禍前を上回る水準に伸びてきた。2022年3月期に入ってからも、コロナ禍の影響が続くなかで、EC売上が好調を持続するとともに、戦略的な商品ラインナップ拡充により時計事業が大きく拡大し、第2四半期は同期間における過去最高水準を更新している。

(2) Web会員数
2021年9月末のWeb会員数は540,394名(前期末比25,934名増)と順調に伸び続けている。コロナ禍に伴う外出制限が続くなかで、手頃で身近な趣味としてカメラを始める人が増えていることや、これまでのEC強化策が軌道に乗り、同社ブランドや運営サイトの認知度が高まっていることが背景にあると考えられる。世代別の構成比を見ると、年齢層は幅広いが、10代~30代の割合は41.7%を占め、インスタグラムなどのSNSの普及により、10代~30代の女性比率は22.5%と高く、新たなターゲット層となっている。また、若い世代の構成比が増加しているなかでも、利用平均単価は維持されているところも特筆すべき傾向と言える。

(3) 購入会員数とアクティブ率
購入会員数とアクティブ率についても、新規会員数が増加するなかで順調に推移している。「欲しいリスト登録数」や「入荷お知らせメール登録数」も順調に伸びており、それらのOne to Oneマーケティング施策もアクティブ率を高める要因になっているようだ。特に、One to OneマーケティングとAIMDの掛け合わせにより、「欲しいリスト」の登録商品値下がり時のプッシュ配信数が従来の約6倍となる毎月100万件まで増やすことが可能となり、取引機会の拡大に寄与している。

(4) 中古カメラ買取額
中古カメラ買取額についても、前期よりAI顔認証システムやAIMDの導入などEC強化を図ったことが奏功し、ECでの買取比率が順調に伸びている。また、さまざまな差別化要因のひとつである先取交換や下取交換も好調に推移しており、EC買取比率の底上げに寄与している。

4. 2022年3月期上期の総括
以上から、2022年3月期上期を総括すると、増額修正後の予想をさらに上回る大幅な増収増益を実現した業績面はもちろん、これまでの戦略的な取り組みが着実に成果に結びついていることを確認できた点で多いに評価できる結果と言えよう。特に、これまでの一連のOne to Oneマーケティング施策や時計事業における戦略的な在庫投資などが奏功しているところは、マネジメントの着眼点や組織としての遂行能力の高さを示すものとして捉えることができる。また、後述する中期経営計画のなかで掲げられた売上総利益率の改善に向けた道筋についても、具体的な成果として実証することができた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


<NB>
情報提供元: FISCO
記事名:「 シュッピン Research Memo(5):2022年3月期上期はEC好調、時計事業が戦略的在庫投資で大幅拡大(2)