■成長戦略

1. 成長戦略
ブランディングテクノロジー<7067>は中長期的な成長戦略として、ニューノーマルに適応するために構築した「マーケティングDX」というビジネスモデルを軸に、中堅・中小企業のデジタルシフトニーズに対応する方針である。具体的には、「顧客獲得チャネルのオンライン化」「ブランディングバンクの強化による顧客1社当たりのタスク数拡大」「業界別の提携パートナー強化」「組織内部の強化」の4つの戦略を展開していく計画だ。また、これに加え、「守り」のDX支援だけではなく、「攻め」のDX領域支援も強化する考えである。中堅・中小企業のデジタルシフトニーズが拡大するなか「ブランディングバンク」をリリースするなど、2022年3月期は成長が再び軌道に乗っていることから、これらの成長戦略を推進することで、さらなる成長が期待できる。

(1) 顧客獲得チャネルのオンライン化
同社は「顧客獲得チャネルのオンライン化」として、マーケティング、営業、カスタマーサクセスの各領域をオンライン最適化し、ブランディングバンクのデータベースをもとに連携することで、成果の再現性が高い施策の実行を目指している。具体的には、業界別に成功パターンを体系化し、オンラインでの発信を強化しており、一例を挙げると、同社が開催した業界別ノウハウを活用したオンラインセミナーでは404名(2022年3月期第2四半期末時点)の申し込みがあったほか、ホームページ改善施策などのアフターコロナ時代の業界別成功パターン集は621件(同)のダウンロードとなるなど、好評を得ている。

(2) 顧客1社当たりのタスク数拡大
ブランディングバンクを強化することで「マーケティングDX」のサイクルが良循環することが期待される。良循環すれば、豊富なデータと多彩なメニューに基づいてStepごとに必要となる施策を明確化することができ、顧客当たりの提供サービス数を増やして顧客単価を引き上げることができる。例えば、Step1がWebサイト制作など業界別ノウハウを活用して成功体験を積むために行う投資、Step2がSNS広告などデジタルシフトを強化して事業拡大のために行う投資、Step3がWebシステム開発など粗利率・コスト効率向上へ向けた投資というように、Stepごとに顧客との関係は深化していく。

(3) 業界別の提携パートナー強化
業界内での認知を獲得し、新規プロジェクトの獲得につなげることを目的に、業界別の提携バートナーとの取り組みを強化しており、共同でのコンテンツ開発やセミナー開催を実施している。具体的には、双方の顧客を招いて共催セミナーを開催することで、業界での同社の認知度を向上させ、新規プロジェクトの拡大につなげる考えである。なお、建設・不動産業界では、リビン・テクノロジーズ<4445>、(株)コンベックス、(株)新大陸、ミカタ(株)、iYell(株)、LIFULL<2120>と提携しており、今後も提携を進めていく。

(4) 組織内部の強化
同社は、「DX推進」「フロント人材育成」の観点から組織体制を強化している。「DX推進」では、全社のDX基盤を構築したうえで事業部ごとにDX担当を擁立し、細分化したDXニーズに対応していく方針である。具体的には、部門別KPIのモニタリングなどデータドリブン経営へシフトするためのデータ基盤を構築するほか、非デジタルな社内業務プロセスをデジタル化することで働き方の多様化に対応する。また、ブランディング/マーケティング支援活動における定性データの構造化とデータ利活用も促進する。一方、「フロント人材育成」では、事業部ごとに業界別ノウハウの共有と「業界別研究会」を実践することで、ノウハウの体系化と非属人化を推進する。なお、「業界別研究会」では、顧客リサーチのレポートや成功事例のプロセス、ブランディングバンクのデータを共有し、フロント人材がデータを利活用できるよう促進する。

(5) 「攻め」のDX領域支援の強化
中堅・中小企業の効率化や省人化、経営データの可視化を目的とした「守り」のDX支援だけでなく、「攻め」のDX領域支援の強化を推進する。「攻め」のDX領域としては、同社が得意とする「集客手法のDX」のほか、「商材のDX」「事業のDX」を挙げており、ブランディングバンクのデータを活用することで、ビジネスモデル全体のDX化支援に取り組んでいく。

2. ESG及びSDGsの方針
コロナ禍で依然多くの企業・業界が厳しい状況にあるが、こうした時代こそ、自社の社会的存在意義を見つめ直す必要があり、そのためにもブランディングを強化し、DXを推進していくことが重要と思われる。同社は、「ブランドを軸に中小・地方企業様のマーケティングDXを担う」というミッションを掲げ、中小・地方企業への支援を通じて、地位社会や地方創生に貢献することで成長を続けているが、根底にはSDGsの精神がある。また、「共存共栄」の経営理念に則り、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)及びSDGsに配慮した経営を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ブランディング Research Memo(7):中堅・中小企業のデジタルシフトニーズの拡大を背景に、さらなる成長を期待