■要約

エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート構造)において主流だったラーメン構法(骨組み(部材)の各接合箇所を剛接合したもの)を木造住宅に取り入れ、同社独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供する。

1. 2021年3月期の業績
2021年3月期の業績は、売上高6,431百万円(前期比2.7%減)、売上総利益1,613百万円(同4.1%増)、営業利益282百万円(同23.3%増)、経常利益323百万円(同25.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益225百万円(同24.1%増)と減収増益での着地となった。大規模木造建築(非住宅)分野において新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により公共工事等の工期が大幅に延長したことが影響して減収となったが、業務効率化により減収分を補い、営業利益、経常利益は過去最高を更新した。また、新規登録施工店の獲得や、生産性の向上により、売上総利益は2020年3月期、2019年3月期を上回った。

2. 2022年3月期の業績予想
2022年3月期の業績予想については、売上高7,365百万円(前期比14.5%増)、売上総利益1,938百万円(同20.1%増)、営業利益202百万円(同28.6%減)、経常利益257百万円(同20.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益200百万円(同11.1%減)を見込んでいる。

3. 成長分野への投資
2022年3月期のテーマとして成長分野への投資を掲げている。成長分野である(1)大規模木造建築(非住宅)分野と(2)BIM事業における3次元CADの分野に対しての投資、そして技術部門への投資として(3)R&Dセンターの開設と、3つの成長分野に積極投資を推進する。大規模木造建築(非住宅)分野の投資計画については、(1)人材の獲得強化、(2)プレカット工場ネットワークの拡大、(3)積極的なプロモーションによる認知度向上を掲げる。BIM事業(Building Information Modeling)については、世界の普及状況及び木造分野の普及状況から鑑みて、同社の急成長のカギとなると弊社では考えている。世界標準の流れから相当遅れを取っている日本では、Society 5.0の社会実装を進めるため、建設分野の制度改革として、BIMの活用及び進展が進むことが見込まれる。

■Key Points
・「大規模木造建築(非住宅)分野」「BIM事業」「R&Dセンター」に積極投資
・確認不要の4号建築物への構造計算義務化で強みを発揮する事業環境に
・プレカット工場ネットワークの拡大により生産性向上
・Society 5.0の社会実装を進めるためBIM事業の成長拡大
・SE構法のシステム強化に向けてR&Dセンター設立へ

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 エヌ・シー・エヌ Research Memo(1):非住宅木造建築分野やBIM事業などへの積極投資を推進