■2022年3月期の事業方針

2. 航空機リース事業
航空業界はコロナ禍で厳しい状況が続いており、業界ではコロナ禍以前の水準に回復するのは2023年あるいは2024年とも言われている。まずは国内線から徐々に回復し、続いて近距離国際線、遠距離国際線へと進むだろう。また、中長期的にはナローボディ機を中心に世界の航空需要は拡大が続くとの見方に変わりない。

こうしたなかダイナムジャパンホールディングス<06889>では今後の方向性として、航空会社の財務状況等も注視しながら製造後5年以内のナローボディ機を中心に慎重に商談を進め、安定的かつ収益性の高いポートフォリオの構築を目指す方針を示している。2022年3月期については既存の3機のリースを継続していくものと予想される。


ビデオスロット機は2021年秋以降の販売活動再開に向け準備を進める
3. カジノ用ビデオスロット機事業の進捗状況
同社は新規事業の一環として、マカオのカジノ市場において、マスマーケット向けのビデオスロット機を投入することを目的に、機材の企画・開発に取り組んでいる。ビデオスロット機は時間消費型ゲームで、パチンコの要素を取り入れた分かりやすいゲームというのが開発コンセプトとなっている。

実際の開発はマカオにおけるカジノ機の製造販売ライセンスを有するシンガポールのWEIKE GAMING TECHNOLOGY (S) PTE. LTD.(以下、WEIKE)と共同で開発を進めている。これまでに6機種がマカオのカジノ管理当局から認可を取得しており、シンガポールでも5機種が認可されている。また、2019年9月にマカオのカジノオペレーターと販売契約を締結し、同年11月よりLegend Palace Casinoで3機種各1台ずつ(計3台)が試験導入されたほか、2020年1月からは別のカジノ施設でも10台が試験導入された。コロナ禍による影響でマカオ市場は大打撃を受けたが、現在、主要なオペレーターとはウェブミーティング等により、市場回復後の販売活動再開に向けた確認を実施している。

マカオのカジノ市場については、2020年9月より入境者数の約70%を占める中国本土からの入境制限が解除されたことで、徐々に回復しつつある。2021年4月の総収入は2年前と比較して36%とまだ低いものの、2021年秋以降には一定の水準まで回復するものと見込まれており、同社においても3社目となるカジノオペレーターとの商談開始に向けて準備を進めている段階にある。今後のコロナ禍の状況次第ではあるが、2021年秋頃には交渉を開始したい考えだ。

ビデオスロット機事業に関しては本格的な収益貢献が実現するまでしばらく時間を要すると弊社では見ている。試験導入から本格導入までどのくらいの時間がかかり、どの程度の規模(台数)となるのかは未定だが、多くの顧客支持が得られれば、一定の収益貢献に繋がるものと考えられる。いずれにしても同社の新製品が、顧客・カジノオペレーターにとって魅力あるマシンとなることが最も重要であり、今後試験導入されるマシンの稼働・売上状況を見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ダイナムジャパンHD Research Memo(7):航空機リース事業は、外部環境が好転するまで現状維持方針