■要約

ヴィンクス<3784>は小売業のDX(Digital Transformation=デジタルトランスフォーメーション)をリードするITサービス企業である。流通小売業を熟知していることを強みとする開発力・技術ノウハウ・サービス力をベースとして、グローバル市場での事業成長と安定的な収益の両立を目指している。

1. 流通小売業向けの継続取引が安定収益基盤
流通小売業向けを中心に情報関連サービス事業(アウトソーシング分野、ソリューション分野、プロダクト分野、その他IT関連分野)を展開している。ソリューション分野やアウトソーシング分野における継続取引が安定収益基盤となっている。競合面では、流通小売業に熟知したうえでシステム開発や機器調達などに対応できる競合企業が少なく、品質面でも過去の実績に対する信頼感が高い。メーカーに対する中立性で世界中のメーカーの機器を選定・提案できる競合優位性もある。

2. 2021年12月期第1四半期は計画水準の小幅増収増益
2021年12月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比0.2%増の7,514百万円、営業利益が同4.6%増の790百万円、経常利益が同0.8%増の780百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同1.3%増の506百万円だった。おおむね計画水準の小幅増収増益だった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響で海外売上が減少したが、国内小売業におけるDXニーズの高まりで需要が高水準に推移し、既存顧客へのさらなる深耕や効率化なども寄与した。

3. 2021年12月期通期は小幅増収増益予想を据え置きだが上振れの可能性
2021年12月期通期連結業績予想は、売上高が前期比1.0%増の28,000百万円、営業利益が同1.0%増の2,150百万円、経常利益が同0.9%増の2,115百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.0%増の1,235百万円としている。コロナ禍の影響で不透明感が強いが、国内小売業におけるDXニーズの高まりを背景として、ソリューション分野とプロダクト分野がけん引して利益を確保する見込みとしている。従来の小幅増収増益予想を据え置いたが保守的だろう。2021年12月期第1四半期の営業利益進捗率は36.8%である。検収時期の関係で第1四半期の構成比がやや高くなる季節要因特性を考慮しても高水準であり、通期予想は上振れの可能性が高いだろう。

4. 小売業のDXをリードするITサービス企業として収益拡大基調
中期計画では経営ビジョンに「アジアにおける流通ITのリーディングカンパニーを目指す」を掲げ、目標値を2023年12月期売上高33,000百万円、営業利益2,540百万円としている。重点施策として、既存ビジネスの高度化とニューリテール事業の具現化に向けて、ニューリテール戦略、特定顧客事業深耕戦略、プロダクト事業強化戦略、リテールソリューション事業拡大戦略、グローバル市場拡大戦略、カード事業強化戦略、経営基盤強化を推進する。流通小売業を熟知した開発力・技術ノウハウ・サービス力、メーカーに対する中立性を特徴・強みとして競合優位性もあり、さらなる市場シェア拡大余地が大きい。小売業のDXをリードするITサービス企業として、中長期的に収益拡大基調が期待できるだろう。

■Key Points
・流通小売業向けを中心に情報関連サービス事業を展開
・2021年12月期通期は小幅増収増益予想を据え置くも、上振れの可能性
・小売業のDXをリードするITサービス企業として収益拡大基調

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ヴィンクス Research Memo(1):小売業のDXをリードするITサービス企業