■要約

システムインテグレータ<3826>は独立系のソフトウェア開発会社で、「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」をコーポレート・スローガンに企業の生産性向上に寄与するソフトウェア・サービスの開発・販売を行っている。データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(以下、OBPM)」等のObject Browser事業のほか、E-Commerce事業、ERP・AI事業を展開している。また、働き方改革や育児支援等に積極的に取り組んでおり、離職率も5%前後とIT業界の中では低く、社員からの評価も高い企業として知られている。

1. 2021年2月期業績の概要
2021年2月期の売上高は前期比6.5%減の4,258百万円、経常利益は同36.2%減の423百万円と4期ぶりの減収減益となった。E-Commerce事業はEC市場の拡大を追い風に好調に推移したものの、ERP事業において不採算プロジェクトが発生し、受注損失引当金231百万円を計上したことや、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、「Object Browser」の需要が冷え込んだことなどが主因だ。なお、ERP事業の不採算プロジェクトについては発生が見込まれる損失の全てを2021年2月期に計上しており、追加で費用が発生するリスクはないと見られる。

2. 2022年2月期業績の見通し
2022年2月期の業績は、売上高で前期比13.9%増の4,850百万円、経常利益で同50.1%増の636百万円と増収増益に転じる見通し。E-Commerce事業やERP事業については、人的リソースが不足するほど需要が旺盛で2ケタ増収が見込めること、並びに前期に計上した受注損失引当金の影響がなくなることも増益要因となる。Object Browser事業については、ソフトウェアの減価償却増や「OBPM」のクラウドサービス化への過渡期にあることから減益を見込んでいる。また、新規事業となる「AISI∀-AD(アイシアAD)」(画像認識技術を用いた異常検知システム)」については、実証実験段階から実用化段階に移行する見通しで、下期に2件程度の導入を予定している。一方、前期はコロナ禍の影響もありやや契約件数が減少した「TOPSIC」(プログラミングスキル判定サービス)は、より実践的なSQL※のスキル判定サービスをメニューに追加したことで、契約件数の拡大を見込んでいる。これらの新規事業についてはまだ先行投資段階にあり、収益への貢献は早くても2023年2月期以降となる見通しだ。

※SQLとは、リレーショナルデータベース(RDB)のデータを操作するための言語。


3. 中期経営計画について
今回、新たな3カ年の中期経営計画「SDGs Mind 2021」を発表した。基本方針として、既存事業の拡大、海外開発拠点の確立、新規事業の開発や収益化、社員のスキル向上、合理化を推進していく。業績目標値としては、最終年度となる2024年2月期に売上高6,200百万円、経常利益966百万円を掲げた。3年間の年平均成長率は売上高で13.3%、経常利益で31.6%(受注損失引当金の影響を除けば13.8%)となる。主力事業では、E-Commerce事業やERP事業で年率2ケタ成長を見込み、Object Browser事業も堅調推移を見込む。また、海外開発拠点として、2022年の春頃にはベトナムに子会社を設置する予定となっている。さらには、「失敗プロジェクトの削減」を経営の最優先課題とし、E-Commerce事業の立て直しに手腕を発揮した専務取締役を開発統括担当役員として抜擢、そのノウハウを全事業部で共有していくことにしている。弊社では、国内のIT投資は依然旺盛なことから、需要に応えられるだけの人材の採用・育成や外注先の確保ができれば、業績目標の達成は可能と見ている。

■Key Points
・「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」 独立系ソフトウェア開発会社
・E-Commerce事業とERP事業は能力以上の引き合いがあり、良好な収益環境が続く
・新中期経営計画では、2024年2月期に売上高6,200百万円、経常利益966百万円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 SI Research Memo(1):E-Commerce事業、ERP事業の受注拡大により2ケタ増収増益に転じる見通し