1. 中期経営計画 中期経営計画「Make FOUNDATION Plan」がコロナ禍の影響により途中で中断したため、新たに2021年12月期から2023年12月期の3ヶ年をカバーする中期経営計画「PROTECT×CHANGE」を策定した。コーポレートスローガンの体現を目指す。コロナ禍により中長期的な業績に与える影響に未確定な要因が多くなったため、現時点では新中期経営計画の最終年度の売上高や利益に関する目標値は公表されていない。
(1) 環境機器関連事業 a) 国内市場におけるIT推進 国内の環境機器関連事業は、下水普及率が高く、人口減少に伴い長期的には市場が縮小傾向にあると同社は認識している。そこでIT推進により、高い生産性を有する組織体制の確立を目指す。同社は水処理関連の業務に長年従事してきたものの、関連データを有効活用することを前提とした形式で保存してこなかった。社員にデータ・サイエンティスト養成講座や人工知能(AI)に関する講座を受講させており、今後はデータを経営へ生かす姿勢を強める。
b) 海外市場開拓に威力を発揮する企業特性 国連サミットで採択された17の「持続可能な開発(SDGs)」のうち、同社は環境機器関連事業で6番目の「安全な水とトイレを世界中に」に深く関わっている。アジアやアフリカの新興国では、水質汚濁による環境汚染が看過できない状態となっていることから、新しい排水処理基準が導入されている。同社が手掛ける中小規模の排水処理関連分野では、現地の企業では厳格化された基準をクリアできる技術水準にない。高い技術力を有する海外企業にとっても、未開拓の市場においては現地の水事情に適合したコスト競争力のある製品を供給できていない。同社は、これらの課題を解決し、新市場の幕開けをもたらす嚆矢となった。
同社は、段階を追って事業を拡大してきた。2016年7月にインド政府に浄化槽を寄贈し、製品品質をアピールした。浄化槽(処理能力10m3/日)の設置場所は、公園内のトイレ、村の公衆トイレ、テストマーケティングとしてプラスチック工場の排水処理用の3件であった。2018年7月に、100%出資の「DAIKI AXIS INDIA Private Limited」を設立した。インドネシアにある自社工場から輸入していた浄化槽を、現地生産に切り替えた。インドにおける事業展開のフェーズ1として、人員の面と時間短縮を考慮してローカルのプラスチック製品製造会社に生産委託をした。委託先は、同社の代理店でもある。同社から金型等の製造設備を提供し、技術指導を行った。生産品目は、20~50世帯に対応するカプセル型浄化槽となる。生産能力が当初の年間100台から200台に倍増されたが、現在では供給力不足のため、インドネシアから一部輸入している。検討中の第2工場は、生産能力を現工場の2倍以上とし、大型の円筒タイプも生産品目に加える。現在は、16社の代理店網がインド国内で展開されている。浄化槽は輸送費が嵩むため、分散型生産体制を構築すべく、第3、第4の生産拠点の開設も視野に入れている。