a) 建設業界の人手不足 建設業界にとって、生産性の向上は喫緊の課題だ。2020年12月のすべての職業の有効求人倍率は、前年同月の1.51倍から1.04倍へ急落したが、建築・土木関係の人手不足は解消からほど遠い。職業別有効求人倍率は、建設躯体工事が9.42倍、保安が6.82倍、土木が6.79倍、建築・土木・測量技術者が6.26倍、採掘が5.06倍、建設が4.77倍と建設・土木関連が上位を占めた。2020年11月調査の正社員等労働者過不足判断D.I.では、調査産業計が25(不足超過)であったのに対し、建設業は48と高水準にある。
b) 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」 政府は2020年12月に、2021年度から2025年度までの5年間で大規模地震対策などを実施する新たな国土強靱化対策を閣議決定した。防災・減災のための国土強靱化計画は、2018年度から2020年度までの3か年の事業規模が7兆円だった。これに対し、新たな5か年対策では15兆円が見込まれている。豪雨対策や交通網維持に対し約12.3兆円、インフラ老朽化対策を加速するために2.7兆円、防災のための災害情報の充実などデジタル化の推進に2,000億円を充て、大規模地震対策など123事業を実施する。重点プログラムは、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速、国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進が挙げられている。
c) 「NETIS」(公共工事における新技術情報提供システム) 国土交通省は2006年度に、公共工事等に関する優れた技術を持続的に創出していくため、民間事業者等により開発された有用な新技術を積極的に活用する目的で、データベース「新技術情報提供システム」を整備した。これは、英訳である“New Technology Information System”の頭文字をとって「NETIS(ネティス)」と呼ぶ。新技術情報の収集・共有、積極的な現場導入、導入現場での活用効果の調査、調査結果に基づく事後評価という一連の流れを制度化し、有用な新技術の活用と技術開発のスパイラルアップを図る総合的な仕組みとなっている。評価結果が優れている新技術については、総合評価落札方式や工事成績評定において加点対象となるなどのインセンティブが付与される。