■ビーロット<3452>の市場動向

不動産市況は、物件タイプによりコロナ禍の影響が異なる。「空室率TVI」(分析:株式会社タス)を見ると、賃貸住宅(東京23区)においては需給の変動により若干の上下はあるが、2015年からの6期において空室率は安定的に推移し、2020年も同様だった。稼働率が高く安定していることは、賃貸収入を安定させるだけでなく、売買市場の環境も良好であることを示す。首都圏及び都市部では、市場の過熱感への警戒が必要なものの、市場の流動性に変化は見られない。また、三鬼商事(株)「オフィスマーケットデータ」によると、オフィス※に関しては、テレワークの急速な普及など働き方の変化があったこともあり、空室率が上昇した。ただし、2020年12月時点の空室率は4.49%であり、リーマンショック前後に8%程度だったこと勘案すると、コロナ禍の影響が限定的であることがわかる。なお宿泊施設に関しては、コロナ禍の影響により訪日外国人が減少し、国内の旅行や出張も自粛が続くなかで、稼働が落ち込む施設が多い。

※東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷区)のオフィス。


また、一般財団法人日本不動産研究所「第43回不動産投資家調査」(2020年10月現在)によると、「今後1年間の投資に対する考え方」に対して、92%(前年同月は95%)が「新規投資を積極的に行う」と回答している。世界的な金融緩和に支えられ、不動産投資家の積極的な投資姿勢は依然として継続していることがわかる。リーマンショック時(2009年4月調査)にはこの指標は45%程度まで下落した経緯があることからも、当時と比較して変化は軽微であると言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ビーロット Research Memo(3):不動産投資家の積極的な投資姿勢に大きな変化はなし