■今後の見通し

2. トピックス
平山ホールディングス<7781>は2021年1月にクロスリンクと資本業務提携契約を締結したことを発表した。クロスリンクは自社求人サイト構築支援やWebマーケティング支援を主に展開している企業で(株)ジャパンクリエイトグループを筆頭に製造系派遣会社7社が出資する会社で、今回同社が加わることで8社となる(同社の出資比率は10.33%)。

2020年4月より改正労働者派遣法が施行され、大企業を対象に同一労働同一賃金制度が導入された。2021年4月には中小企業も適用対象となった。こうした状況下において派遣業界では、派遣社員の賃金決定方法の厳格化や、派遣先から派遣会社への情報提供の義務化、派遣会社から派遣社員への説明の義務化など、様々な手順が追加され、現場では業務量が増加し、業務効率の低下が喫緊の課題となっている状況にある。こうした課題を解決するソリューションとしてクロスリンクが、2021年4月より人材派遣業務一括管理システム「HRクロス」の提供・運用を開始することを発表している。

同システムの機能としては、派遣の受発注・契約・請求・派遣スタッフの評価・各種勤怠データなどの管理を一元化できるシステムとなっており、派遣会社や派遣先企業が導入することで、業務管理にかかる時間とコストを大幅に削減する効果が期待されている。大手人材派遣企業では既に独自のシステムを導入しているが、中堅企業以下の人材派遣会社にとっては同システムを利用することで業務効率が向上し、顧客との関係構築も維持できることになる。システム利用料も安価なことから、出資企業8社の利用だけでなく人材派遣業界に登録している会員会社にも導入を促進していくものと考えられ、「HRクロス」が業界標準のプラットフォームとなる可能性がある。一方で派遣先の会社にとっては、同一プラットフォーム上で複数の派遣会社の管理が可能となるためパフォーマンス評価が行いやすくなり、評価の高い派遣会社は取引シェアが拡大し、逆に評価の低い派遣会社は契約が打ち切られやすくなるといった状況になることも予想される。

同社にとっては同システムを導入することで、業務効率の改善につながるといったメリットを享受できるのは間違いない。しかし、導入して以降の取引シェアなどにどのような変化が出てくるかはしばらく様子を見ないとわからないが、派遣人材のスキルが重要なポイントになると思われる。そういう面では、人材教育に注力してきた同社にとっては、取引シェアの拡大、新規顧客の獲得など成長機会の増加につながる取り組みとして注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 平山 Research Memo(10):クロスリンクと資本業務提携契約を締結、成長機会が増す可能性も