19日前場の香港市場は値下がり。主要52銘柄で構成されるハンセン指数が前日比259.76ポイント(0.85%)安の30335.51ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が80.91ポイント(0.67%)安の11960.62ポイントとそろって続落した。半日の売買代金は1344億2300万香港ドルに縮小している(18日の前場は1729億5200万香港ドル)。

中国人民銀行(中央銀行)の資金吸収が嫌気される流れ。人民銀は朝方、リバースレポ取引により200億人民元を市中に供給したが、満期到来分との差引では800億人民元の吸収超だった。人民元は前日も差引2600億人民元を市中から引き揚げている。米金利高もネガティブ材料。米10年債利回りが依然として約1年ぶりの高水準で推移する中、昨夜の米株市場では、高PER(株価収益率)のハイテク株に売りが継続した。このところの物価上昇により、米国や中国など各国で金利の先高観が強まっている。(亜州リサーチ編集部)

ハンセン指数の構成銘柄では、民間自動車メーカーの吉利汽車HD(175/HK)が3.4%安、石油生産大手の中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が3.1%安、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)と金融大手グループのHSBC(5/HK)がそろって2.8%安と下げが目立った。

セクター別では、石油生産・化工や掘削、天然ガスなどエネルギー関連が安い。上記した中国海洋石油のほか、中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が1.5%、中国石油化工(サイノペック:386/HK)が2.3%、中海油田服務(2883/HK)が4.4%、昆侖能源(クンルン・エナジー:135/HK)が2.8%ずつ下落した。原油安が逆風。昨夜のWTI原油先物は1.0%安と4日ぶりに反落し、この日の時間外取引でも安く推移している。

「ニューエコノミー」関連もさえない。ITやハイテクで構成されるハンセン科技指数は2.3%安と続落している。組み入れウエート上位の「ATMX」銘柄では、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)が1.8%安、騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が1.4%安、美団(メイトゥアン:3690/HK)が2.1%安、小米集団(シャオミ・コーポレーション:1810/HK)が2.4%安で前場取引を終えた。

その他IT・ハイテク関連の銘柄群も急落。インターネット専業保険で中国最大手の衆安在線財産保険(6060/HK)が9.5%安、決済サービス業務の移カー(9923/HK)が7.8%安、ショート動画投稿アプリの快手科技(クアイショウ・テクノロジー:1024/HK)が6.0%安、医療・ヘルスケアプラットフォームの京東健康(JDヘルス・インターナショナル:6618/HK)が4.1%安で引けた。

半面、セメントや鉄鋼、段ボールなど素材セクターはしっかり。中国建材(3323/HK)が10.3%高、中国西部水泥(西部セメント:2233/HK)が6.7%高、華潤水泥HD(チャイナ・リソーシズ・セメント:1313/HK)が5.3%高、安徽海螺水泥(安徽コンチセメント:914/HK)が3.9%高、鞍鋼(347/HK)が3.6%高、中国東方集団HD(581/HK)が3.0%高、馬鞍山鋼鉄(323/HK)が2.2%高、山東晨鳴紙業集団(1812/HK)が6.8%高、理文造紙(2314/HK)が5.4%高、玖龍紙業(2689/HK)が3.8%高と値を上げた。晨鳴紙業は上場来高値を更新している。

他の個別株動向では、冶金系エンジニアリング大手の中国冶金科工(1618/HK)が4.7%高。同社は昨日引け後、1月の新規受注額が前年同月比で2.3倍に拡大したと報告した。

一方、本土市場は5日ぶり反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.32%安の3663.74ポイントで前場の取引を終了した。消費関連株が安い。素材株、ハイテク株、医薬品株なども売られた。半面、金融株は高い。公益株、不動産株、メディア・娯楽関連株、運輸株の一角も買われた。


【亜州リサーチ(株)】

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情報提供元: FISCO
記事名:「 19日の香港市場前引け:ハンセン0.9%安で続落、上海総合は0.3%下落