■城南進学研究社<4720>の今後の見通し

(3) 付加価値の高い「幼少教育事業」の確立
保育事業に関しては、M&A戦略によりグループ化した城南ナーサリー、フェアリィーなどを含めてすべての保育園で「くぼた式育児法」を導入し、今後の差別化戦略としていく方針となっている。

また、英語系学童、インターナショナルスクール事業については、「ズー・フォニックス・アカデミー」「トレスター・インターナショナル・アフタースクール」「サニーキッズ・インターナショナルアカデミー」(非連結子会社のCheer plus(株)で運営)で、2020年9月末の9教場から3年間で20教場まで拠点を拡大していく計画となっている。前述した通り、2021年4月に「ズー・フォニックス・アカデミー」「トレスター・インターナショナル・アフタースクール」で各1校、新規開校することが決まっている。これら拠点展開により、小学校3年生以下で中学生レベルの英語力を習得できる生徒数を多く育成する体制を構築する。

さらに、新たな取り組みとなる複合型スクール「城南ブレインパーク」については、2021年1月時点の4校体制を3年後に10校まで拠点を拡大していく計画となっている。ブレインパークでは複数の教育サービスを提供することで、生徒当たり売上高の最大化と収益性の向上を目指していく。

(4) 「収益構造改革」の断行
収益構造改革として、前期までに「城南予備校」の運営を終了し、固定費の削減を実施したが、引き続き不採算教場のてこ入れと業務プロセス改革により、不採算教場ゼロの達成を目指していく。前述した通り、既に不採算教室をリストアップしており、業務の可視化、組織内の情報共有や迅速な業務改善に取り組んでいる。また、コスト削減施策の1つとして教室の賃料値下げ交渉を行っているが、2022年3月期から約80件の賃料値下げが決まっており、金額にして約1千万円の削減効果が見込まれている。

また、戦略的業務提携や子会社とのシナジー効果も追求していく。戦略的提携では、スタディプラス(株)と2020年6月に業務提携を発表し、スタディプラスの学習管理サービスを基盤とした「GoNAVI」の提供を開始している。また、同年11月には私立小学校向け専門受験塾の運営会社と業務提携し、受験対策ノウハウの提供を受け、自社で提供する幼児向け教育サービスのカリキュラムに取り入れていく予定となっている。さらには、同年12月に首都圏を中心に学童施設等を運営する(株)明日葉と協定を締結し、「デキタス」を明日葉の運営する学童・放課後クラブ教室で活用していくことを発表しており、デジタル教材部門の売上増に貢献するものと期待される。

そのほか、リモートワーク体制の加速、並びにRPAツールやWeb会議ツールの導入によって、本部機能のスリム化、生産性向上に継続的に取り組んでいく方針となっている。

(5) クレド経営に基づいた人財育成
自ら考えて行動する社員を育成することによって、経営理念やクレド(行動指針)、ビジョンに基づく行動の喚起と、エンゲージメント(会社への信頼・愛着心)の高い組織の構築を目指していく。また、グループの発展に寄与する人財の採用と成長を促すための人事評価制度の構築についても取り組んでいく予定だ。

なお、SDGsへの具体的な取り組みとして、同社は「質の高い教育の提供」として、「デキタス」の提供による不登校生徒や学習塾のないエリアへの学習機会の提供を推進している。また、「ジェンダーの平等実現」として、女性の活躍の場を広げるべく保育事業の拡大に取り組んでいる。今後もこうしたSDGsへの取り組みについては継続して推進していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


<NB>
情報提供元: FISCO
記事名:「 城南進研 Research Memo(9):「学びの個別最適化」「教育ソリューション事業」「幼少教育事業」に注力(2)