■事業概要

1. 会社概要
ジャパンベストレスキューシステム<2453>は「困っている人を助ける!」を経営理念として、生活に関わる様々なトラブルを解決する「総合生活トラブル解決サービス」カンパニーで1997年に設立された。2020年3月時点で連結子会社は3社で、2008年にジャパン少額短期保険(株)、2016年にJBRあんしん保証(株)を子会社化したほか、2019年7月より新たにレスキュー損害保険を設立、開業している。また、連結従業員数は2020年9月末時点で前期末比11名増加の244名(単体は195名)の規模となっている。

2. 事業の内容
事業セグメントは、駆けつけ、会員、保険、リペアに加えて、2020年9月期より新たに電力販売等を行うライフテック事業を会員事業から切り出し、独立セグメントとし開示している。2020年9月期の事業セグメント別売上構成比を見ると、会員事業が50.3%と全体の半分を占め、次いで保険事業が34.7%、駆けつけ事業が12.3%となっている。売上高のうち、会員や保険契約件数の積み上げ等によるストック型ビジネス(サブスクリプション型、リカーリング型含む)の比率が8割以上を占めており、安定性の高い収益基盤を構築していることが特徴であり強みとなっている。

(1) 駆けつけ事業
駆けつけ事業は住宅のカギ交換や水まわり、ガラス、パソコン等のトラブル(2020年9月期第4四半期に日本PCサービス(株)へ業務移管)、害虫駆除、庭の手入れ、リフォーム等の生活全般にわたる困りごとに関して、会員以外の一般顧客から入ってくる依頼をコールセンターで受け付け(365日稼働)、依頼内容に応じてパートナー店に作業手配を行うサービスで、「生活救急車」のブランド名で展開している。同社の売上高は、パートナー店が一般顧客から回収した作業代金の原則30~40%程度を紹介手数料収入として計上している。同事業を拡大していくためには、入電件数を増やすためのマーケティング施策(タウンページ、インターネット、チラシ、その他広告等)が重要となっている。数年前まではタウンページからの入電が大半であったが、直近ではインターネット経由が4割を占めるまでになっている。また、インターネットのなかでも自社サイト経由での問い合わせ比率が上昇している。

なお、実際の作業を依頼する店舗は契約形態の違いによってパートナー店舗とネットワーク店舗の2種類に分けられる。パートナー店とは同社が紹介する顧客とパートナー店が直接、見積契約と清算を行って、月末に紹介料を同社が請求する形態の店舗となる(駆けつけ事業に該当)。一方、ネットワーク店舗とは主に同社の提携企業の会員を対象に作業を行い、同社の指示に従って顧客と清算を行った後に、同社が月末に不足分等の清算を行う形態の店舗となる(会員事業に該当)※。2020年9月期のパートナー及びネットワーク契約店舗数は前期比64店舗増加の2,198店舗となっている。

※パートナー店とネットワーク店の両形態で契約する店舗もある。


(2) 会員事業
会員事業は、会員向けに生活トラブル全般の解決サービスを提供する事業で、会員は入会金や年会費等を事前に支払うことで、該当するトラブルが発生した時に一般料金よりも低価格、または無料でサービスを受けることができる仕組みとなっている。

生活会員及び保証会員(入会・更新・継続含む)の合計数は、2020年9月期末で239万人と過去最高を更新している。主力サービスは賃貸及び分譲住宅入居者向けの「安心入居サポート」で、同事業売上高の7~8割を占めている。サービスメニューとしては入居時の暮らし相談サポートや入居中の生活トラブルを解決・サポートするサービスがあり、不動産賃貸事業者等と販売代理店契約を結ぶことで契約件数を伸ばしている。会費は2年契約で約1.5万円となり、うち約6割が同社の収入で約4割が代理店の販売手数料となる。売上計上方法は月分割方式となっているが、実際の資金の流れとしては契約時に2年分を一括して会員から徴収している。このため、貸借対照表上では残存期間分の対価について前受収益及び長期前受収益として計上されている。一方、代理店への手数料支払いについては契約月に一括して支払い、費用も同額分計上するため、契約ごとの損益で見ると会計上は開始1ヶ月目に損失を計上する格好となっている。

その他の会員サービスとしては、全国大学生活協同組合連合会(以下、大学生協)と提携して販売している大学生向けの生活トラブル解決サービス「学生生活110番」(4年契約タイプで9,250円、うち約7割が同社の収入)、連結子会社のJBRあんしん保証で提供する住設機器、家電製品等のメーカー保証期間終了後のサポートを行う「あんしん修理サポート」(5年・8年・10年間保証で7,000円~、うち約8割が同社の収入)などがある。「あんしん修理サポート」の会員獲得はハウスメーカーやホームセンター、家電量販店等との提携を通じて行っているが、保証額は家電製品よりも住設機器のほうが高くなること、住宅販売時の購入価格に保証サービスを組み込みやすいことから、住宅メーカーとの提携強化に注力している。保証期間が5年以上と長くなるため、同事業部門の年間売上に対する寄与度はまだ小さく、同事業の2割弱程度と見られる。

なお、会員事業では入会時に顧客から会費を徴収し、作業依頼を受けた場合は入会時の条件に基づいて、無料または割引価格でネットワーク店の手配を行っており、発生した作業代金または作業代金と割引価格との差額が同社の負担となる。このため自然災害の発生等により想定以上に作業件数が増加した場合は、同社の費用負担が重くなり収益性が低下するリスクがある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 JBR Research Memo(2):「困っている人を助ける!」が経営理念、日常生活のトラブル解決サービス提供(1)