■今後の見通し

1. 2020年12月期の業績見通し
サイバーリンクス<3683>の2020年12月期通期の連結業績予想については、売上高で前期比33.3%増の13,926百万円、営業利益で同42.0%増の639百万円、償却前経常利益で同16.1%増の1,323百万円、経常利益で同38.8%増の640百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同39.8%増の392百万円とする期初予想を据え置いている。

セグメント別では、ITクラウド事業では「@rms」次期バージョン等のサービス提供の拡大が見込まれること、防災行政無線デジタル化工事が進むこと、新規連結子会社が通年で寄与することなどから増収、単体の牽引により増益を予想。一方でモバイルネットワーク事業は、引き続き端末販売の低迷や端末販売単価の低下が続く見込みであることから、減収減益を予想している。

2. セグメント別見通し
(1) ITクラウド事業
セグメント売上高は10,809百万円(前期比53.6%増)、セグメント利益は565百万円(同84.2%増)とし、このうち連結子会社の寄与は、売上高2,454百万円、経常損失64百万円を見込んでいる。子会社が損失計上予想となっているのは、同社グループに入ったことで財務経理を含めて様々なルール・規則等を上場企業基準に合わせることが必要になり、コンサルタント等の費用が見込まれるためとしている。

a) 流通クラウド分野
2020年12月期下期は、上期からずれ込んだ案件の売上計上や定常収入の着実な積上げ、効率的な働き方の定着による費用削減効果を見込み、増収増益の見通し。「@rms」次期バージョン開発の一段落に伴い、償却費が減少することから、今後は「@rms」シリーズ周辺サービスのバージョンアップや次世代サービスの開発など将来を見据えた投資を実行していく。

b) 官公庁クラウド分野
2020年12月期下期は、上期からずれ込んだ防災行政無線デジタル化工事及び連結子会社におけるシステム導入案件を含め、工事、システム導入を着実に進めることに加え、「GIGAスクール」関連案件(特に校内ネットワーク関連)の受注に注力する。また、グループ間の連携強化を進め、売上最大化、コスト最小化を図ることで、増収増益の見通しとなっている。

(2) モバイルネットワーク事業
セグメント売上高は3,117百万円(前期比8.7%減)、セグメント利益330百万円(同12.0%減)の見通し。2020年12月期下期は、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、安心安全の店舗運営を行っていくとともに、販売の落ち込みを最小限に食い止めるべく、応対品質の維持・向上に努め、顧客ロイヤルティを高めていく方針。いわゆる「分離プラン」開始以降の販売台数低下と、売れ筋モデルの低価格帯シフトの傾向は変わらないことから、引き続き販売台数は低迷し、端末販売単価も低下すると見ている。なお、中長期的にはスマートライフ関連商材の提供拡大に向けた取り組みを継続する。

(3) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響について
a) ITクラウド事業
一部で資材調達やシステム導入の遅れが生じているものの、案件はおおむね順調に進捗している。流通・官公庁分野ともに「新しい生活様式への対応」が求められることから、業務のデジタル化が加速することが予測される。その結果、流通分野ではメーカー・卸・小売間の対面の商談からオンライン商談へシフトが進み、官公庁分野では、行政のデジタル化の加速により、ICT基盤の全国利用・共同利用の需要が高まると同社では予想している。これに対する同社の取り組みとして、以下の4つを挙げている。
1) C2Platform(企業間連携プラットフォーム)や小売商談支援システムの開発に注力する。
2) 自治体情報セキュリティクラウド、情報系共同利用サービスを展開する。
3) 顧客と従業員の安全確保、顧客接点の維持、サービスの安定供給の観点から、ミーティングのオンライン化、テレワークの環境整備と実施を推奨するとともに、時差出勤を推奨する。
4) オフィスの規模等の見直しを行う。

b) モバイルネットワーク事業
2020年4月~5月はドコモショップの営業時間を短縮、店頭での受付業務を縮小する等の措置を講じたが、現在は通常営業を行っている。今後の取り組みとしては、顧客と従業員の安全確保の観点から、マスク、ゴーグル、フェイスシールドの配備、対面接客フェンスの設置等を実施し、顧客が安心して来店できる店舗づくりに取り組むとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 サイバリンクス Research Memo(8):上期実績の大幅上振れを考慮すれば、更なる上振れの可能性も