■業績動向

1. 2020年12月期第2四半期累計業績の概要
トレードワークス<3997>の2020年12月期第2四半期累計の売上高は前年同期比32.5%増の861百万円、営業損失は85百万円(前年同期は79百万円の損失)、経常損失は84百万円(同78百万円の損失)、四半期純損失は59百万円(同56百万円の損失)となった。

同社の事業規模はまだ小さく、大型開発案件の売上計上時期によって、四半期ごとの業績変動が大きくなる傾向にある。2020年12月期第2四半期累計期間では一部開発案件の検収時期がコロナ禍のため2020年12月期第3四半期にずれ込んだものの、前年同期に開発案件が少なかったこともあり、2ケタ増収となった。一方、損益面では前年同期から若干悪化したが、これはクラウドサービス強化のためのインフラ投資(データセンターのサーバー及びネットワーク回線の増強)を継続して実施したことや、各種証券情報のデータ提供にかかるイニシャルコストの増加、本社移転に伴う賃借料の増加等が主因となっており、会社計画どおりの進捗となっている。なお、2019年12月期の減益要因の1つであった派遣コストの増加については、人材採用が順調に進んだことにより、2020年12月期第2四半期累計では減少しており、正社員も含めた全体の人件費率も前年同期から改善した。なお、エンジニアの新規採用数は新卒5名(国内3名、カンボジア2名)を含めて14名(前年同期は5名)となり、採用費についても増加している。前期から採用強化に向けて人材サービス専門のコンサルティング会社と契約したことが奏功している。


金融ソリューション事業を中心にすべての事業で2ケタ増収に
2. 事業別の状況
(1) 金融ソリューション事業
金融ソリューション事業の売上高は前年同期比35.3%増の766百万円となった。ストック収入(月額使用料・保守及びクラウドサービス)は2019年12月期第4四半期に納品した岩井コスモ証券(株)向けの上積み分や主要顧客であるauカブコム証券向けも堅調に推移したことにより、会社計画どおりに進捗した。一方、フロー収入(開発案件)は中規模の開発案件(数千万円規模)の売上計上時期がコロナ禍のため2020年12月期第3四半期にずれ込んだものの、前年同期の水準が低かったことや第1四半期にDMM.com証券向け「新トレーディングツール」の売上げを計上したこともあって増収となっている。なお、同事業売上高に占めるストック収入の比率は前期の4割弱から5割弱の水準まで上昇しており、同社が成長戦略として掲げているストック型ビジネスモデルへの転換も順調に進んでいると言える。

(2) FXシステム事業
FXシステム事業の売上高は前年同期比13.2%増の84百万円と増収基調が続いた。既存顧客から新たに「TRAdING STUDIO」LIONチャートPlus+機能強化版の新サービスを追加受注したことが増収要因となった。

(3) セキュリティ診断事業
セキュリティ診断事業の売上高は前年同期比16.0%増の10百万円と増収に転じた。主力商品である自動診断ツール「SecuAlive」のリニューアル版については伸び悩んでいるものの、単価の高い手動診断サービスの受注増加が増収要因となった。


自己資本比率は80%超、無借金経営で財務内容は健全
3. 財務状況
2020年12月期第2四半期末の総資産は、前期末比153百万円減少の1,595百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が255百万円増加したほか、仕掛品が126百万円増加した一方で、売掛金が547百万円減少した。また、固定資産では新たなソリューションサービスの開発にかかるソフトウエア仮勘定が35百万円増加したほか、繰延税金資産が25百万円増加した。

負債合計は前期末比77百万円減少の204百万円となった。未払法人税等が33百万円減少したほか、買掛金が16百万円減少した。また、純資産は前期末比75百万円減少の1,390百万円となった。四半期純損失59百万円の計上や配当金支出による利益剰余金の減少が主因となっている。

経営指標を見ると、自己資本比率は引き続き80%以上の水準で推移しているほか、無借金経営を続けており、財務内容は健全と判断される。とはいえ、現預金の水準は678百万円、売掛金を合わせても819百万円と少なく、収益拡大による更なる財務基盤の強化が求められる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 トレードワークス Research Memo(3):2020年12月期第2四半期累計業績はほぼ会社計画どおりの進捗