■ホットリンク<3680>の今後の見通し

2.成長戦略
2019年以降の事業構造改革により、飛躍的な成長に向けての事業体制を再構築した。今後、高成長が期待できるソーシャルメディア広告市場において、費用対効果の高いマーケティング支援サービスを提供していくことで、顧客の拡大と顧客当たり売上単価のアップを実現し、高成長を目指していく。

(1) ソーシャルメディア広告市場の見通し
国内におけるインターネット広告の市場規模は年率2ケタ成長が続いており、2019年は初めてテレビ広告を上回った。パソコンやスマートフォンの普及拡大により、いつでも、どこでも手軽にインターネットを利用することが可能となったことが背景にある。広告を出稿する企業にとっても、訴求したいターゲット層に広告を配信しやすいこと、費用対効果がデジタルに可視化できることなどから、プロモーション施策の一つとして利用する企業が増えている。

なかでも、今後のインターネット広告市場のなかで主戦場になるとみられるのがソーシャルメディア広告と言われている。TwitterやFacebook、YouTubeなどのソーシャルメディアがここ数年で急速に普及しており、ユーザーの1日当たり利用時間も増加している。また、Twitterではユーザーが商品の感想等を書き込むことで、自然発生的に情報が拡散しやすく、結果的に費用対効果の高いプロモーション効果が得られることなどが背景にあると見られる。

同社資料によれば、米国におけるデジタル広告市場は2020年の約14.4兆円から2024年には約18.9兆円に拡大、このうちソーシャルメディア広告の構成比率は2020年の28%から2024年には29%に上昇する。一方、日本のデジタル広告市場は2020年の約1.7兆円から2024年には約2兆円となり、このうちソーシャルメディア広告の構成比率は2020年の15%から2024年には17%に上昇する。日本におけるソーシャルメディア広告市場は、2020年の約2,562億円から2024年には約3,335億円に拡大する予測となっている。年率換算すれば約7%成長であるが、注目すべきポイントはデジタル広告の市場規模そのものが米国に対して日本は小さすぎることにある。弊社では、米国の市場規模を考えれば日本のデジタル広告市場の成長ポテンシャルは高く、今後も年率2ケタの成長が続くと予想している。とりわけ、ソーシャルメディア広告については構成比率が2020年時点で15%と米国の28%に対して低く、現在のソーシャルメディアの普及状況などを考えれば、米国と同じ水準まで高まるポテンシャルはあると考えており、今後、日本におけるソーシャルメディア広告市場が高成長を遂げる可能性が高いと見る根拠となる。

(2) デジタルマーケティングにおけるメディアの種類とホットリンクのポジション
デジタルマーケティングを行うメディアには、自社で所有する「オウンドメディア」、広告費用を払って露出できる他社が所有する「ペイドメディア」、自社でコントロールできない消費者が発信する「アーンドメディア」の3つに大別される。それぞれのメディアによってマーケティング手法も異なるが、ここ最近の世界的な個人情報保護の動き※によって、今までインターネット広告市場をけん引してきたペイドメディアによるターゲティング広告の精度が低下するとの懸念が出ている。これに代わってアーンドメディアを活用したマーケティング手法が注目され始めている。

※欧州におけるGDPR規制、米カリフォルニア州消費者プライバシー法、Appleによる広告トラッキング規制、Cookie規制等


ただ、アーンドメディアは自社でコントロールが不可能なため、いかに最適なユーザーに情報を発信してもらい、効果的に拡散していくことができるかで、費用対効果も変わってくる。いわばマーケティング支援企業によって差が出やすい領域と言える。同社は創立以来、蓄積してきたソーシャル・ビッグデータの解析力とEffyisが持つソーシャルデータの収集力を強みとし、自社で体系化したSNSによる行動購買プロセス「ULSSAS」を循環させる運用メソッドを確立した。これにより、高いパフォーマンスを上げることに成功している。

SNS運用コンサルティングのリピート率も70%以上と高い。今後は顧客の開拓と合わせて、成功事例を積み重ねることでクロスセル、アップセルを行いながら顧客単価をアップしていく取り組みを進めていく戦略となっている。既に、顧客によっては取引額が増えている事例も出てきている。ポストコロナにおいてもSNSマーケティングの重要性はより高まるものと見られ、2021年以降は大きく飛躍できる好機になると弊社では見ている。現状は広告販売が売上の大半を占めることや販管費率が高いため収益性は低い。しかし、今後は付加価値の高い運用コンサルティングの売上比率が高まることや、売上規模が拡大することによる販管費率低下によって収益性も向上していくものと予想される。

一方、クロスバウンド事業についてもインバウンド需要についてはまだ見通しにくいものの、中国市場におけるアウトバウンドのプロモーション支援については越境EC支援サービスも含めて大きく伸びる可能性がある。中国市場向けの新サービスについても中国子会社で開発を進め、現在、テストマーケティング中である。サービスラインナップも拡充しながら、年間600兆円の消費規模となる中国市場を開拓し、高成長を目指していく。トレンドExpressについては2021年12月期の営業黒字化を目指している。

DaaS事業については、引き続き主要SNSのデータアクセス権の取り込みを進める。同時に、ダークウェブデータの商品化、独自分析による付加価値化(翻訳などを含めたデータ加工により利便性の高いデータを提供)にも取り組んでいく。売上成長率については年率10%台の安定成長を想定しており、Effyisの営業利益率も10%近い水準を目標としている。


人と情報を結びつけて、HOTTO(ほっと)できる社会の実現に貢献し、企業価値を高めていく
3. SDGsの取り組み
SDGsの取り組みとして、同社ではHOTTO(ほっと)できる社会の実現に貢献するため、(1)社員の社会貢献活動の積極的な推奨、(2)社外のジェンダー平等の実現・不平等の解消活動に関する会社としての支援、(3)LGBTの人たちが働きやすい社内規定の改定・環境の整備に取り組んでいる。

(1)では同社代表の内山氏が(一社)新経済連盟のLGBT等性的マイノリティが生きやすい環境を創るための「SOGIエンパワーメントPT」のプロジェクトリーダーに就任し、啓蒙活動を行っている。また、社員が多様な家族形成が認められる社会の実現を目指す「Famiee」プロジェクトに協力している。(2)に関しては、「Famiee」プロジェクトへの運営資金の寄付やオフィスの提供を行い、(3)については一般社団法人Famieeが2020年9月に発行開始する家族関係証明書の第一弾となる、同性カップル向け「パートナーシップ証明書」を、企業内の福利厚生サービスの申請時の利用に向け導入する予定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




<EY>

情報提供元: FISCO
記事名:「 ホットリンク Research Memo(9):同社が持つ運用ノウハウを強みに日本と中国市場で高成長を目指す