長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったBJI(PT BANK JTRUST INDONESIA, TBK.)については、新会社JTII(PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIA)を設立して、同行から不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図ってきた。2019年3月期決算においてBJIでは買収前からの負の遺産である不良債権を前倒しで一括処理を断行し、東南アジア金融事業の業績急回復を実現するための基盤を整えた。その結果、BJIの貸出残高は2019年1月の754億円から2019年11月には463億円に減少した後に反転したものの、現在は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を注視して一時的に新規貸出を抑制しており、2020年6月の残高は547億円にとどまる。また、90日以上延滞債権率は2019年12月の1.49%を底に、4.11%に上昇している。
2018年10月に株式60%を取得しグループ傘下に収めたマルチファイナンス会社のJTO(PT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCE)は、オートローン業界の老舗として高い知名度があり、インドネシア全土の支店網や取引金融機関との豊富なネットワークを有している。従来の中古車ローンに加え農機具ローンや新車ローンなど新しい商品の提供を始めてきたが、新型コロナウイルス感染症が拡大している中で市場の変化を鑑み、現在は農機具ローン以外の新規貸付を一旦停止している。JTOのアセットは2018年10月の92億円から、2020年3月には144億円に増加したが、同年6月には135億円に減少する一方、同感染拡大に伴う政府政策による債務再編申請に伴い、90日以上延滞債権率は2018年10月の1.85%から2.63%に上昇している。