■業績動向

1. 2020年11月期第2四半期業績
バイク王&カンパニー<3377>の2020年11月期第2四半期(2019年12月−2020年5月)の業績は、売上高10,580百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益150百万円(同30.4%増)、経常利益206百万円(同19.8%増)、四半期純利益115百万円(同75.0%増)だった。通期計画に対する営業利益の進捗率は65.2%と順調な進捗となった。原付第一種(~50cc)、原付第二種(51~125cc)、軽二輪(126~250cc)、小型二輪(251cc~)において、同社の主力仕入とする高市場価値車輌が伸びており、平均売上単価は前年同期を上回っている。ホールセールではコロナの影響踏まえ販売方法の工夫により台数が減少しているが、車輌における質の向上によって全体の利益率は向上している。

また、リテールにおいては、台数及び質の向上により利益率が向上している。2020年11月期第2四半期の主な取り組みとして、「仕入力強化」と「販売力強化」が挙げられる。仕入力強化においては、マスメディアの媒体構成の最適化とWebを中心とした効果的な広告展開を推進するとともに、人員の適正配置・拡充、育成強化に注力し、顧客からの問い合わせに迅速に対応できる体制を強化した。また、販売力強化においては、マーチャンダイジングサイクルを推進し、店舗の移転や増床に加え、リテール販売の商品ラインアップの拡充を図るとともに、接客力向上や売り場改善による既存店の強化に努めた。2020年11月期第2四半期のリテール販売台数は8,200台(前年同期比6.5%増)、ホールセール販売台数は47,600台(同2.1%減)であった。

2020年3月以降は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)拡大の影響を受け、一時的に仕入れにおいて顧客の買取申し込みが減少した。また、広告投下の一部縮小やキャンペーンの延期、感染症拡大防止のための店舗の営業時間短縮等を実施したことにより、仕入台数が低調に推移した。一方で価格面は、オークション相場の変動を注視し仕入価格の適正化を図っている。リテール販売では2020年4月7日の「緊急事態宣言」発令後、顧客の来店に一部減少が見られたが、その後の解除に伴い回復した。またホールセール販売では、オークション相場の下落が見られたため、売却価格の水準を維持する立場で対応したことによって、オークション相場は回復しさらに改善する状況となっている。

なお、同社の業績には季節性がある。まず、冬場はバイクのオフシーズンで需要が減少する。一方で、春から秋にかけてはオンシーズンとなる。また春先は、卒業や転勤等の移動に伴うバイク処分が3月前後に集中するため繁忙期となる。加えて原付を含むすべての二輪車にかかる「軽自動車税」は4月1日の時点で所有者に課せられるため、処分を考えているバイクユーザーは税金がかからないように3月末までに売却する傾向にあり、この影響も受ける。その後、夏~秋はバイク需要の盛り上がりとともに推移する。これらの結果、4半期ごとの売上高推移を見ると、第1四半期において落ち込み、第2四半期以降回復することが分かる。


ホールセールの質の向上による利益率上昇とリテール販売台数の増加が利益押し上げ
2. 売上総利益の増益要因
2020年11月期第2四半期の売上総利益は前年同期比5.6%増の4,715百万円であった。売上総利益の増益要因としては、ホールセールにおいては、台数減少による影響で67百万円の減収があったが、質の向上(高市場価値車輌)による利益率押し上げ効果が151百万円あり、また、リテールにおいては、台数増加による押し上げ効果が78百万円、質の向上による利益率押し上げ効果が98百万円などであった。


下期は仕入強化キャンペーンの実施や販売強化施策・通信販売の強化を実施
3. 2020年11月期の業績予想
2020年11月期の業績予想については、売上高20,500百万円(前期比1.9%増)、営業利益230百万円(同9.1%増)、経常利益370百万円(同2.9%増)、当期純利益210百万円(同2.0%増)とする期初計画を据え置いている。コロナの影響は、現在のところ軽微である。コロナの影響への今後の対応として、第3四半期以降は仕入強化キャンペーンの実施を行うとともに仕入価格の適正化を継続する。また、販売力として、販売強化施策の実施、通信販売の強化、販売方法の工夫を継続する計画である。

4. 新しい取り組み・周辺事業の拡大
車両以外にバイクに関する周辺ビジネスの拡大を進めており、顧客との接点の創出による車両販売機会の拡大と二輪業界全体の発展を目的として、2020年7月にはバイク王盛岡店を盛岡市津志田西(盛岡南ショッピングセンターサンサ内)に移転し、リニューアルオープンしている。同店舗は、新たな試みとして従来の買取サービスに加え、ジャンル・排気量を問わず約80台の在庫を用意し、リテール小売販売サービスを開始。また、同社の子会社でバイク用品部品の総合卸売事業を展開する(株)ヤマトの事業基盤を生かし、バイクの車輌から用品部品の購入、アフターメンテナンスまでのサービスをワンストップで提供する。ヤマトについては、新たな収益源の創造および持続的な中古バイク販売のための環境整備を目的として2019年12月に完全子会社化している。

その他、大型商業施設「ハーバーシティ蘇我」のショッピングモール「スポーツ & バリューモール GLOBO」内に店舗を構える「GLOBO 蘇我店」においては、常時150台のバイクを取り揃えているほか、2020年6月には期間限定でハーレーダビッドソンを集結させるといった専門店化にも取り組んでいる。そのほか、同年7月には「バイク王 太宰府店」をバイクワールド太宰府大佐野店内に期間限定で出店し、同店舗では初めての試みとして全ての車両の整備をオプションとし、自身で「選べる販売方式」を実施。ニーズに合わせて乗り出し価格を選ぶことができる新しい販売方法取り入れるなど、様々な取り組みを行っている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)




<NB>

情報提供元: FISCO
記事名:「 バイク王 Research Memo(5):注力するリテール販売台数の増加による利益押し上げ効果が顕在化