■システム ディ<3804>の業績動向

(4) 公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業では、地方自治体向けの新公会計用ソフト「PPP(トリプルピー)」※1や各種ソリューションを提供している。「PPP(トリプルピー)」は2000年に初期バージョンを開発し、2008年にリリースした「Ver.3」で複式簿記を簡単に実施できる機能を搭載し、以降、熟成を重ねながら導入自治体数を拡大してきた。また、2018年6月には、公会計活用システムで、言わば地方自治体の財務諸表分析に特化したソフト「創生」※2をリリースしている。

※1 「PPP」:自治体会計(現金主義・単式簿記会計)を発生主義・複式簿記に基づいて公会計財務諸表と固定資産台帳を作成する機能を持ち、会計制度の新統一基準に完全対応したソフトウェア製品。
※2 「創生」:財務諸表や各種指標を用いて分析を行うための支援ツールで、経営計画シミュレーションや財政計画策定などで利用する。活用の視点から地方創生を支援するソフトウェア製品となる。


2020年4月末の累計導入自治体・関連団体数は、前年同期比80増加の1,030となっている。公営企業などで導入が進んだほか、自治体向けについても2022年3月末のサービス停止を発表した国策の競合製品(市場シェア約25%)からの切り替えが進んでいることが増加要因となっている。同事業の売上高は新会計ソフトのリプレイス需要一巡により2018年10月期以降、減収が続いていたが、顧客数の増加に伴って2020年10月期第2四半期累計の売上高は前年同期比10.6%増の204百万円と増収に転じている。半期ベースでは前下期に続いて2ケタ増収となっており、再度、拡大基調に転じたものと判断される。

なお、「PPP」の対象顧客となる自治体数は全国で1,788、関連公共団体数は1,595ある。このうち、自治体向けに関しては800超、公共団体向けでは200超を導入しているものと見られ、自治体向けに関しては5割弱と圧倒的なシェアを占めていることになる。

(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では幅広い業種の民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、文書・契約書等の管理システム等を提供している。具体的商品としては、「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」などがある。

一般企業や学校法人、公益団体問わず、コンプライアンス経営やコーポレートガバナンスの強化が、経営の最重要課題になってきており、これら取り組みを支援する同社製品に対する引き合いが好調に推移している。ニッチ領域でありパッケージソフトでの競合が少ないこと、また、高機能でコストパフォーマンスに優れていることが、高い評価につながっている。また、業務マニュアルや手順書の作成に最適な機能を多数搭載した「規程・マニュアル管理システム」を複数ユーザーに導入した。金融機関向けに特化した「規程管理システム金融機関版」や「総合文書管理システム(仮称)」の見込み案件も増加している。

2020年4月末の累計顧客数が前年同期比55増加の451社・団体となったほか、大手金融グループ会社への採用が決まったこともあり、2020年10月期第2四半期累計売上高は前年同期比26.4%増の130百万円と大きく伸長した。

(6) 薬局ソリューション事業・その他
薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛ける事業で、小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の「GOHL2」などを提供している。2020年4月末の累計導入調剤薬局数は前年同期比1局増加の1,226局となり、ここ数年はほぼ横ばい圏で推移している。売上高に関しては保守・サポート収入が安定的に推移したことに加え、医薬品過誤防止システム「GOHL PICKING」や保険薬局向け薬歴情報システム「薬歴情報電子ファイル」などの新規導入が進んだことにより、前年同期比で堅調に推移した。

また、同社製品によるソリューションビジネスを北海道で展開するシステムディ北海道(株)についても、既存大規模顧客への対応を行い、システムの安定稼働を図るとともに、道内での積極的な営業活動を進めたことで、売上高は堅調に推移した。テナント収入も含めた2020年10月期第2四半期累計の売上高は前年同期比19.1%増の35百万円となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 システム ディ Research Memo(5):学園ソリューション事業など、3つの事業で20%を超える増収に(2)