■クオールホールディングス<3034>の会社概要

3. 医療関連事業
従来、BPO事業セグメントとしていたが、2019年より医薬品製造販売事業が新たに加わったことで、2021年3月期より事業セグメント名を医療関連事業に改称している。

(1) BPO事業
BPO事業については子会社のアポプラスステーション(株)が中核となって、CSO※事業(CMR派遣)、薬剤師や看護師等の医療系人材紹介派遣事業、CRO事業を展開している。売上高の6~7割はCSO事業となり、自社で経験の有無を問わずMRを採用・育成し、契約先の製薬企業に対して派遣している。

※CSOとはContract Sales Organization(医薬品販売業務受託機関)の略で、CMR(契約MR(Medical Representative、医薬情報担当者))の派遣業務となる。


MRとは、製薬企業が医師や医療機関に対して新薬の営業活動などをする際に、当該製品の情報提供なども含めて行う営業スタッフのことを指す。製薬業界ではここ数年、新薬の開発が顧客ターゲット(医療施設や医師)の多いプライマリー薬(生活習慣病等)から顧客ターゲットが限られるスペシャリティ薬(抗がん剤等)にシフトする傾向にあり、先行きMR人員の余剰が見込まれるようになったことから、製薬企業では自社で抱えるMR人員を削減し、アウトソーシングする流れとなってきている。

こうした流れのなかで、同社は採用力と教育力を強みにCMR人材の増員を進めており、2019年3月期の業界シェアは15.2%、取引先企業数も50社弱とトップの実績を誇っている。日本CSO協会の調査によれば、2019年2月時点のCMR数は3,315名、活用企業数は128社となっている。

紹介派遣事業では、薬剤師や看護師、登録販売者等の紹介派遣を行っている。なお、同社の保険薬局事業とのシナジーを追求すべく薬剤師を中心に展開しており、薬剤師の慢性的な不足もあり高成長が続いている。2020年10月以降は成長スピードをさらに加速するため、アポプラスステーションから分社化したアポプラスキャリアで事業展開する予定となっている。薬剤師数については業種別派遣者数ランキングで業界トップ10に食い込む規模と推定される。

CRO※事業では医療用医薬品、OTC薬品、食品、ヘルスケアの各領域において、治験・臨床研究に関して企画からパブリケーションまでトータルソリューションを提供している。そのほか、子会社のメディカルクオール(株)で出版関連事業として医薬品の販売促進用資料や、医療関係者・患者向けのパンフレット、書籍、雑誌等の受託制作などを行っている。また、近年ではデジタル化の流れに沿って顧客のために自社内にスタジオを設置し、顧客のWeb配信へのサポート事業も展開している。

※CROとはContract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)の略で、臨床試験等の支援業務等を指す。


(2) 医薬品製造販売事業
2019年8月に子会社化した藤永製薬の事業となる。藤永製薬は1941年に設立(創業は1924年2月)された医薬品メーカーで、精神科・皮膚科を主な事業領域としている。フェノバールやヒダントール(いずれも先発薬)、炭酸リチウム「フジナガ」(ジェネリック薬)などを製造している。売上規模としては、2018年9月期で1,761百万円、営業利益も若干ながら黒字経営となっているようだ。今後、同社において製造設備の投資や自社グループの調剤薬局への販売拡充を進めることで、独自のポジションを確立し、事業拡大を図っていく方針としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 クオールHD Research Memo(4):2019年8月より製薬メーカーを子会社化し、医薬品製造販売事業にも進出