■要約

日本テクノ・ラボ<3849>は、少数精鋭のコンピュータシステム開発会社である。「イメージング&プリンタコントローラ事業」「ストレージソリューション事業」「セキュリティ事業」「ビジネスソリューション事業」の4つの事業を展開しているが、各セグメントで市場優勢性のある自社開発製品群を持っていることが強みである。

1. 2020年3月期の業績概要
2020年3月期は売上高840百万円(前期比11.0%増)、営業利益158百万円(同57.2%増)、経常利益156百万円(同187.0%増)、当期純利益87百万円(同124.7%増)と、2期連続の増収増益で着地した。イメージング&プリンタコントローラ事業における製品売上高の大幅な増加、並びに、ストレージソリューション事業と情報セキュリティ事業における販売費及び一般管理費の大幅な減少により全体の営業利益が増加し、大幅な増収増益となった。また、期初計画(売上高900百万円、営業利益150百万円、経常利益150百万円、当期純利益80百万円)に対しては、各利益が計画を上回った。

2. トピックス
同社は2020年6月5日、官公庁を中心とするミッションクリティカルな環境でのインフラ系映像監視に特化した完全自社開発の映像監視ソリューションである「FIREDIPPER」に、「画像認識機能」を搭載したことを発表した。これにより、「FIREDIPPER」に取り込まれたカメラ映像を利用した「顔認証」「人数カウント」「検温連携」「物体検出」などの画像認識システムを構築することが可能となる。また、複数の映像ソースを同時に処理できることに加え、ライブ・録画映像からの画像分析やマスク装着時における顔認証も可能である。なお、マルチベンダーカメラ対応のためカメラの機種は問わず、専用の画像認識装置が不要であることも利点の一つである。この新機能搭載により、更なる売上拡大が見込まれると弊社ではみている。

3. 2021年3月期の業績見通し
新型コロナウイルス感染症の影響で、顧客企業の活動自粛長期化も見込まれるものの、同社が注力する事業へのニーズは高いことから、2021年3月期においても中期経営計画達成に向けて取り組みを継続する方針である。しかしながら、現時点において合理的な業績予想の算定を行うことは困難であり、適切な予想の開示ができないと判断し、2021年3月期の業績予想は未定としている。

なお、工場市場向け超高速プリントサーバー案件については、新型コロナウイルス感染症拡大前に海外企業から受注している。この商品は引き合いが強いことから、グローバルでの経済活動再開の動きが進むことによって、受注回復が見込まれる。また、統合監視映像システムについては、高速道路などや河川、港湾、空港などのほか、工場の入退セキュリティ強化、商業施設、高解像度4K・8K カメラ対応による医療データ収集、遠隔診療、講義収録、業務画面のエビデンス収録などでの運用も見込まれることから、経済活動が再開されれば同社の回復は早いと弊社ではみている。

■Key Points
・市場優勢性のある自社開発製品群を多数持つ、少数精鋭のコンピュータシステム開発会社
・2020年3月期はイメージング&プリンタコントローラ事業がけん引し、大幅な増収増益で着地
・「FIREDIPPER」に画像認識機能を新たに搭載、サーモカメラとの連携で体温確認を顔認証・人物カウントと同時に行う
・同社が注力する事業へのニーズは高いことから、2021年3月期も中期経営計画達成に向けて取り組みを継続

(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NTL Research Memo(1):2020年3月期は2期連続で大幅な増収増益を達成