「世の中にないものをつくり、世の中のためになるものをつくる」を経営理念に掲げているレーザーテック<6920>。X線テレビカメラの開発会社として1960年に創設。以来60年間、一貫して数々の検査・計測装置を生み出してきた。

4月の第3四半期決算では、売上高は前年同期比19.2%増の256億円、営業利益は54.4%増の88億円と過去最高額を達成した。全体を牽引する主力事業は、半導体の歩留り向上に欠かせない「マスク関連検査装置」の開発・製造・販売だ。ロジックデバイスメーカーの最先端分野では、次世代のEUV(極端に波長が短い紫外線)リソグラフィーを用いた半導体製造が量産のステージに入り、大手デバイスメーカーがEUV関連分野でさらに積極的な投資を行った。この投資は今年も継続する見込みだ。

「当社は1976年に世界初のマスク検査装置を開発したものの、その後大きくシェアを落として低迷していました。2006年頃に新設計のマスク検査装置を海外のデバイスメーカーに持ち込んで挽回を期しましたが、初めは課題が多くて改善要望ばかりでした」と語るのは岡林 理(おかばやし おさむ)社長だ。米国、台湾、韓国等の現地法人を強化し、同社のマスク関連検査装置を大手デバイスメーカーに認知させるなど、海外展開に力を注いできた。リーマンショック直後の2009年に社長に就任。当時売上の半分を占めていたFPD関連事業を縮小して半導体関連事業にリソースを集中し、マスク検査装置を再び主力製品となるまで育て上げた。
「当社の強みは技術開発力に加え、エンジニア自身が積極的に顧客を訪問してご要望を伺うことです。直接コミュニケーションを取ることでニーズをいち早く正確にとらえて、素早く対応することができます」
「毎年一つの新製品を開発しよう、それも世界ではじめてのものを。創業以来のこの開発精神と日々の努力が、今や業界標準機として高い評価をいただいている半導体マスク検査装置やFPD用マスク検査装置などに結実していると思っています」

昨年秋、アクティニックEUVマスク検査装置の新製品 ACTIS A150を発表した。これは、検査光源にEUV光を採用した世界初のEUVマスク検査装置だ。波長の短いEUV光を用いるため、従来の装置に比べて欠陥を検出する感度が高い。

コロナウィルスの影響はどうなのか。
「先が見えないという点で、リーマンショック時と状況は大きく違います。しかし、半導体の主な用途がパソコンであったリーマンショック時と異なり、現在はスマートフォンやタブレット、データセンターや通信インフラ向け、さらにはAI(人工知能)、ADAS(先進運転支援システム)など非常に多様化しています。足元では次世代通信規格5Gの普及が始まって追い風となっていますし、今後も技術進歩とともに半導体需要はさらに高まると予想されます。社会を支える半導体の技術進歩は事業上のチャンスであると共に、当社ならではの事業を通じた社会貢献の絶好の好機と捉えています。今後とも顧客へのソリューション提供に努め、中期経営計画のフェーズ3で目標とする『飛躍的な成長』に結び付けていきます」と語る岡林社長の声は自信に溢れていた。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 レーザーテック--- EUV関連検査装置の拡販で「飛躍的な成長」を目指す